三井住友海上火災保険は2025年4月22日、全社員が利用する生成AIアシスタント/チャットツール「MS-Assistant」において、損害保険の商品規定や事務手続ルールの照会に特化した大規模言語モデル(LLM)の運用を開始した。「AIを利用する社員みずからがAIを育てる」方針のと下、社員1万2000人のフィードバックの分析・学習で文書検索に活用可能な仕組みを整えている。
三井住友海上火災保険は、全社員が利用する生成AIアシスタント/チャットツール「MS-Assistant」(画面1)を2023年5月17日から運用し、全社員で利用している。文書作成・校正、翻訳、ブレインストーミング、プログラミングなどの業務に活用している。

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2023年10月には、損害保険の商品規定や事務手続ルールの照会に回答する照会応答機能をMS-Assistantに追加した(関連記事:三井住友海上、社内利用の生成AIチャット「MS-Assistant」に損保業務の照会応答機能を追加)。
今回、照会応答機能の精度を高めるため、NECのLLM「cotomi」をベースに、損害保険業務の専門知識を備えた業務特化型のLLMをNECと共同で構築した。このLLMと「Azure OpenAI Service」の照会支援機能を組み合わせることで、MS-Assistantの照会精度向上を確認できたことから、全社員での利用を開始した。
業務特化型LLMの構築にあたっては、社員1万2000人のフィードバックを分析・学習して、ドキュメント検索に活用可能な仕組みを実装。「AIを利用する社員みずからがAIを育てる」ことで業務効率化を図っていく。加えて、生成AI特有のリスクであるハルシネーションを考慮し、適切な利用に向けたルールを全社員に徹底している。
三井住友海上は今後、照会業務の効率化と顧客対応品質の向上に向けて、保険約款やFAQなどのデータを追加し、機能拡充を進める。さらに、保険代理店システムへの生成AIの適用を検討し、保険業界に特化したLLMの導入を進める。