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日立、物流センター全体のマテハンをフィジカルAIへ進化させる「LogiRiSM」

複数のマテハンを連携させ搬送計画を自動立案、仕分業務の生産性を従来比4倍に

2026年3月16日(月)IT Leaders編集部、日川 佳三

日立製作所は2026年3月12日、搬送計画最適化AIエンジン「LogiRiSM(ロジリズム)」を提供開始した。自動倉庫や無人搬送車(AGV)など複数のマテハン機器の状態をリアルタイムに把握・予測し、各機器をシームレスに連携させることで、仕分け業務の生産性を従来比で約4倍に向上させる。同社のAI業務支援サービス群「HMAX Industry」のラインアップとして、主に小売業・流通業向けに展開する。

 日立製作所の「LogiRiSM(ロジリズム)」は、物流センターの搬送計画を最適化するAIエンジンである。同社のAI業務支援サービス群「HMAX Industry」のラインアップとして、主に小売業・流通業向けに展開する。

 AGV(無人搬送車)やコンベアなど複数のマテリアルハンドル(マテハン)機器の状態をリアルタイムに把握・予測し、各機器を連携させて効率よく仕分ける搬送計画を自動で立案する。WCS(倉庫管理システム)と連携して動作する(図1)。

図1:複数のマテハン機器を連携させた搬送計画を自動立案するAIエンジン「LogiRiSM」の概要(出典:日立製作所)
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 日立は技術開発の背景を以下のように説明する。「物流業界では労働力不足や高齢化が深刻な社会課題となっており、物流の維持・効率化が急務となっている。また、EC市場の拡大に伴う多品種少量化により、倉庫内の仕分け作業は複雑化しており、限られた人員と時間で迅速な出荷を実現することが求められている」。

 人による歩行ピッキングや固定設備を多用する従来のシステム、あるいは在庫商品が入った棚やコンテナを作業者の元に搬送するGTP(Goods to Person)方式のみの導入では生産性やレイアウト変更の柔軟性に課題があったとし、自律的な搬送制御技術とAIによる最適化を組み合わせたフィジカルAIの開発に取り組んだ。

GTPとOTPを組み合わせ、先回りして設備と作業者を制御

 LogiRiSMは、自動倉庫や中量棚、AGVなどの状態をリアルタイムに把握・予測し、WCS(倉庫制御システム)と連携して最適な搬送計画を自動立案する。人が歩行して集品する従来のカートピッキングと比較して、以下の3つの特徴により、約4倍の生産性向上を実現するとしている。

(1)OTP方式による歩行・荷合わせの削減
 
在庫商品が入った棚やコンテナを作業者の元へ搬送する従来のGTP方式に加え、注文ごとの集品箱をAGVなどの搬送機器に積載して作業者の元まで自動で届けるOTP(Order to Person)方式を採用した。AGVが複数の保管設備に立ち寄る「マルチアクセスピック」を行うことで、作業者は歩行することなくピッキングが可能となり、ピッキング後の荷合わせ作業も不要となる。

(2)搬送ルートのリアルタイム制御による作業者・設備の稼働率最大化
 独自のAI最適化エンジンにより、オーダーの投入順序やAGVの搬送ルートをリアルタイムに制御する。GTPとOTPのタイミングが同期するようにマテハン機器を自動制御させることで、自動倉庫からの出庫タイミングとAGVの到着を最適化し、作業者の手待ち時間や設備の待機時間を最小化する。また、AGVの渋滞や作業の遅れが発生した場合でも、AIが自動的に計画を再計算し、空いているステーションへAGVを誘導するなど、状況に応じた最適なコントロールを行う。

(3)「トータルピッキング」による作業効率の向上
 同一のSKU(在庫管理単位)に対して複数のオーダーがある場合、作業者が一度の動作で複数オーダー分の商品を連続して取り出す「トータルピッキング」に対応している。これにより、作業効率を向上させると共に、自動倉庫からの商品搬送回数を抑制できるため、自動倉庫規模の最小化や低能力モデルの採用が可能となり、初期投資の低減にも寄与する。

 これらの機能に加え、コンベアなどの固定設備への依存度を下げたAGV主体の搬送とすることで、自由度の高いレイアウトを可能にした。商品の特性に合わせた保管設備・場所をつないだリレーピッキングや、物量に応じたAGV台数の増減など、事業環境や規模の変化に合わせて柔軟にレイアウト変更でき、スモールスタートから大規模センターまで幅広いニーズに対応するとしている。

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