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トヨタ自動車東日本の岩手工場、EMS導入で電力需給を最適化、再エネ活用と地域防災を両立

2026年4月21日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

トヨタ自動車東日本(本社:宮城県黒川郡大衡村)は2026年4月、岩手工場(所在地:岩手県胆沢郡金ケ崎町)で日立製作所のEMS(エネルギー管理システム)「EMilia(エミリア)」を稼働させた。電力需要の予測とリアルタイムな需給制御にAIを活用することで、再生可能エネルギーを最大限に活用しながら災害時には地域の防災拠点として電力を供給できるようにした。

 トヨタ自動車東日本の岩手工場は、「金ケ崎レジリエンスグリッド」を2026年3月から運用している。平常時は再生可能エネルギーの地産地消を進め、災害などの停電時には自立運転へと移行し、工場や地域の広域防災拠点に電力を供給する取り組みである。

 しかし、再エネの発電量は天候で変動するため、再エネの利用を拡大すると需給バランスが崩れやすい。一方で、災害に備えた蓄電池残量は常に確保しておかなければならない。このため、精緻な需要予測とリアルタイムな需給制御が不可欠である。

 今回、需給バランス調整と非常時電源確保の両者を同時に満たすため、複数拠点のエネルギー状況を可視化して設備の制御を最適化する統合EMS(エネルギー管理システム)「EMilia(エミリア)」(日立製作所が提供)を稼働させた(図1)。

図1:トヨタ自動車東日本の岩手工場が稼働させたEMSの概要。電力需要を予測し、リアルタイムに需給を制御する(出典:日立製作所)
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 EMSの導入にあたっては、日立製作所と共同で、自動車工場向けにカスタマイズした。同システムは、生産情報や気象情報、電力量実績などの影響因子を認識・理解するフィジカルAIで電力需要を予測する。カスタマイズでは、トヨタ自動車東日本の生産計画情報や過去の稼働実績データを予測モデルに組み込み、工場特有の微小な稼働変動も捕捉できるようにした。

 従来、インバランス(電力の需給計画値と実績値との誤差)の調整は熟練者の経験に依存する側面が大きく、手間がかかるうえに予測精度にもばらつきが生じていた。これに対してEMiliaでは、試運転段階でインバランス率を1%前後に抑えることに成功した。

 EMiliaは、リアルタイムの需要変動に対しても、実績と計画が一致するように現場の状況を常時監視してリアルタイム制御し、インバランスを最小化する。蓄電池の残量管理と組み合わせることで、停電時の非常用電源を確保し、近隣地域への送電機能も維持する。

 日立製作所は今後、トヨタ自動車東日本との取り組みを「AIによる高度なエネルギー最適制御」のモデルケースとし、データセンター、製造業、流通業、オフィスビル、商業施設、地域マイクログリッドなどの各業種・施設に展開する予定である。

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