[市場動向]

大和証券、耐量子計算機暗号の負荷を検証、鍵交換の処理時間増加は限定的、鍵サイズにより通信量は増加

2026年4月1日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

大和証券グループ本社傘下の大和証券と大和総研は2026年3月31日、耐量子計算機暗号(PQC)の概念実証結果を公表した。大和証券が運営するオンラインサービスのセキュリティ強化を目的に実施したもので、鍵交換処理時間の増加は限定的である一方、鍵サイズ増加によって通信量やパケット数が増加することから、導入にあたっては事前に回線帯域を確認する必要があることが分かった。概念実証は、NEC、F5ネットワークスジャパン、デジサート・ジャパンと協働して実施した。

 大和証券は、オンラインサービスのセキュリティ強化を目的に、耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography:PQC)の概念実証を実施した。大和総研のデータセンターに構築した証券業務システムの開発環境にWebブラウザからPQC暗号通信でアクセスし、サーバー負荷と性能、安定性などを検証した(図1)。

図1:耐量子計算機暗号の概念実証を通じて得られた知見(出典:大和総研)
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 実証は、大和総研(検証環境の構築、検証、評価)、NEC(検証シナリオや検証結果ホワイトペーパーのレビュー)、F5ネットワークスジャパン(負荷分散装置の提供)、デジサート・ジャパン(標準化動向の情報提供)の各社と協働し、2025年9月から2026年3月にかけて実施した。

 実証の結果、インターネット通信において、PQC(ML-KEM)を用いた鍵交換処理にともなう処理時間の増加は平均1.2ミリ秒程度と限定的で、通信の確立(TLSハンドシェイク)全体に与える処理性能への影響は軽微であることを確認した(図2)。

図2:鍵交換における処理時間と通信量の実証結果(出典:大和総研)
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 一方、PQCの鍵サイズの大きさによってクライアント/サーバーともに通信量が増えてパケット数が増加する。このため、無線通信や回線帯域が限られる環境では影響が生じる可能性があり、導入にあたっては事前の評価が必要だと指摘している。回線帯域を確保済みの大和証券においては影響はないと判断した。

 標準化動向については、デジタル署名や認証など暗号処理の一部は標準化が進展途上であり、システム更改時期を踏まえた移行計画の策定が必要であることを整理した。必要に応じて暗号移行チームを組成することと、暗号の利用箇所と方式を整理した台帳の作成に着手することが有効であるとした。

 大和証券グループは、検証結果を踏まえ、PQCの正式導入に向けた方針を策定し、量子コンピュータの実用化を見据えたシステム基盤の構築を推進していくとしている。なお、検証結果をまとめたホワイトペーパーを大和総研のWebサイトで公開している。

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