「保険金の請求がどこでどれだけ滞っているのか、誰も正確には把握できていなかった。これを、業務プロセスの可視化で解消した」─。2026年7月28日にCelonisが開催したプライベートイベント「Celonis Process Intelligence Day Tokyo 2026」の事例セッションに明治安田生命保険が登壇し、給付金支払業務をCelonisで改善した取り組みを紹介した。
明治安田生命保険の年間支払件数は、2025年度の実績で844万9000件(1兆7780億円)で、1日あたり約2万3000件(約49億円)を処理している。このうち給付金は年間で192万件(4780億円)に及ぶ。
給付金の支払いプロセスは、請求手続き、請求書類データ化、支払査定、送金後検証という4つの工程で構成する。今回、このうち滞留が生じやすい請求書類データ化と支払査定にプロセスマイニングツールの「Celonis」を導入した(図1)。
図1:給付金の支払いプロセスのうち、滞留が生じやすい請求書類データ化と支払査定にプロセスマイニングツールの「Celonis」を導入した(出典:明治安田生命保険)拡大画像表示
定量データを活用し「肌感覚」の議論から脱却
同社はCelonis導入以前から支払体制を改善してきたが、請求件数が増える中で、さらなる改善の糸口を見つけにくくなっていた。正確・迅速・適切な支払いを実現するうえで2つの課題があったと、支払開発グループの清水朋子氏(写真1)は指摘する。
写真1:明治安田生命保険 事務サービス企画部 支払開発グループ グループマネジャーの清水朋子氏拡大画像表示
課題の1つは、客観性に欠ける感覚的な議論が多発していたこと(図2)。従来、給付金業務に関わるプロセスデータを取得するためにはシステム部門への依頼が必要で、データが手元に届くまでに1週間から4週間もの時間を要していた。
図2:データをリアルタイムに入手できないことから、客観性に欠ける感覚的な議論になっていた(出典:明治安田生命保険)拡大画像表示
客観的な定量データがない状態のまま打ち合わせを始めるため、参加者それぞれの肌感覚、つまり「こうだと思う」という個人の経験に基づく主観的な意見が多発する。結果として、根本課題の真因をきちんと分析できない。
もう1つの課題は、支払体制の整備や構築が後手に回ってしまうこと(図3)。日々の業務において、流入件数や処理件数を取得するために、1営業日から3営業日を要していた。「今日どれだけの案件が入ってきて、どれだけ処理ができたのか」をリアルタイムに把握することができなかった。
図3:日々変動する請求件数を予測できないため、気づいた時には支払い案件が山積みになっていた(出典:明治安田生命保険)拡大画像表示
日々変動する請求件数を予測できないため、「件数増加の検知が遅れ、気づいた時には支払い案件が山積みになっている」という事態を招いていた。こうなってしまっては「迅速な支払い」という使命を果たせなくなる。
これら2つの課題を解決するため、業務をリアルタイムに可視化する手段としてCelonisを導入した。経営陣からはCelonisの必要性を疑う声も挙がったが、清水氏はカーナビゲーションを引き合いに、最適ルートの把握や到着時刻の予測、さらに事故発生時の代替経路案内が運転を支えるように、可視化が支払業務を支えると説明し、社内決裁を獲得した。
●Next:4つのユースケースに見る、プロセスマイニングを通じた業務改善
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