Matlantisは2026年9月16日、材料シミュレータ「Matlantis」の新機能「Matlantis Case Studio」を発表した。これまで計算科学を専門としてこなかった実験化学者みずから簡易的なシミュレーションを扱えるようにする機能である。レゾナック(本社:東京都港区)の研究現場の声を起点に開発と実証を重ねてきたもので、実証に協力したユーザー企業を中心にα版を近日中に提供する。
「Matlantis」は、原子・分子レベルの材料シミュレーションを実行可能な、クラウド型の汎用原子レベルシミュレータである。Preferred NetworksとENEOSの合弁会社であるMatlantisが提供している。150以上の国内企業・大学・研究機関が利用しているという。
新機能の「Matlantis Case Studio」は、これまで計算科学を専門としてこなかった実験化学者がMatlantis上でみずから簡易的なシミュレーションを扱えるようにするもの(画面1)。既存の計算事例から関連性の高いものを選択し、AIとの対話を通じてプログラミングなしに所望の計算へとカスタマイズして実行できる。計算結果は自然言語で要約表示する。
画面1:「Matlantis Case Studio」の画面イメージ(出典:Matlantis、レゾナック・ホールディングス)拡大画像表示
Case Studioは、レゾナックの計算情報科学研究センターおよび伊勢崎事業所と、MatlantisおよびPreferred NetworksのMatlantis開発チームが2025年10月から進めてきた共同実証プログラムの成果である。
レゾナックの計算科学者・実験化学者が、同機能のプロトタイプを実際の業務で使い、そこで得た知見を短いサイクルで機能に反映するアジャイルな開発プロセスを採った。これまでに4回の実証実験を実施し、計算科学を専門としない研究者でも初見で計算を完走できることを確認した。
レゾナック伊勢崎事業所の倉林一樹氏は、「開発中のポリマー材料の密度や基材との密着性を調べる際、従来は計算科学者の協力が必要であり、結果を得るまでに一定の時間がかかっていた。Case Studioにより、自分の手元で初期検討の目安となる試算値が得られるようになった」とコメントしている。
背景には、計算科学を活用できる人材は限られており、材料開発の実験化学者が仮説を計算で試すハードルは高いという状況がある。Matlantisとレゾナックは、あらゆる研究者が計算科学のツールを自在に扱える状態をツール環境の側から支えることを狙い、新機能の開発に取り組んだ。
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