2008年9月14日に全日本空輸(ANA)の搭乗システムが障害を起こし、ニュースで大きく取り上げられたことは記憶に新しい。搭乗手続きをするチェックイン端末が利用不能となった結果、61便が欠航。遅延なども含めて約7万人もの足に影響が及んだ。直接的な損失額は同社グループで2億円に達したと言われる。
情報システムがトラブルを起こした際に、社会や自社経営に及ぼす影響はますます大きくなってきている。全日空の件は端末を管理するサーバーの設定ミスが原因だったが、ほかにもシステムの欠陥が引き金となって大規模障害を起こした企業の例は枚挙にいとまがない。
経営にITを活用する以上、どの企業にもシステム障害を引き起こす可能性はある。だからこそ、情報システムを開発・導入する際には、その品質を高める努力と品質基準が欠かせない。人手で開発する以上、バグを根絶するのは現実的ではないが、一定の基準を定めて開発プロジェクトを進めるのが、とても重要になる。
例えば製造業であれば、不良率を可能な限り減らすために品質管理部などが中心となって、検査ルールを定めたりQC活動を展開したりして品質向上に努めている。「100万台中50台の不良にとどめる」など目標値も明確であり、部品の調達先なども含めて現場が一丸となって取り組んでいる。
では、情報システムの品質について、どのような基準を持つべきなのか。ここで参考になるのが、「システム納入から安定稼働までに見つかるバグは開発費500万円あたり1件」とする指標だ。これは日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が2004年以降、企業の実例を調査し続ける中で導き出したものだ。
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