[新製品・サービス]
EMCジャパン、拡張性と処理能力を高めた大規模ストレージ新モデル「Symmetrix V-Max」、I/O性能を最大2.6倍に向上
2009年5月8日(金)IT Leaders編集部
EMCジャパンは2009年4月15日、大規模ストレージシステムの新モデル「Symmetrix V-Max」を発表した。アーキテクチャを改良し、従来型に比べ処理性能を最大2.6倍に高める一方で、システム拡張に伴う設定作業の手間を10分の1程度に軽減した。料金を最長1年間据え置くレンタルサービスも用意し、導入の促進を図る。
Symmetrix V-Maxは、クアッドコアのインテル製Xeonプロセサ4個と64ギガバイトのメモリーからなる「エンジン」を最大で8個搭載する。EMCが新たに開発した「Virtual Matrix」と呼ぶ新しいアーキテクチャーによって、各エンジン内のプロセサが互いのメモリーを共有しながら、ディスクの読み取り・書き込み処理を実行する。これにより1秒間に可能なI/O処理の回数を、現行のハイエンド機「Symmetrix DMX-4」の1.3〜2.6倍に高めた。
V-Maxは出荷時点で、同じきょう体内にあるエンジン間でしかメモリーを共有したI/O処理を実行できない。だが、将来的には物理的に離れた場所に設置したV-Maxのエンジンを連動させて、1つのストレージシステムとして稼働させられるようにする計画だ。
V-Maxは、システム管理機能も強化した。具体的には、サーバーとストレージのポートを結ぶ複数のHBA(ホスト・バス・アダプタ)をグループ化することで、サーバーごとやストレージのポートごとに個別にHBAの設定をしなくて済むようにした。サーバーの追加やディスク装置を拡張する際、従来型の製品と比較して、約10分の1の工数で設定できるという。
製品ラインアップと価格は、上位機「V-Max」と下位機「V-Max SE」の2種類がある。V-Maxはエンジンを1〜8個まで搭載する。ディスクは48〜2400基まで接続して、最大2.1ペタバイトまで容量を拡張できる。V-Max SEが搭載するエンジンは1つで、接続できるディスクは360基。価格は下位機のV-Max SEが最小構成で2980万円(税別)から。
ユーザー企業のITインフラの維持コストを無料で試算
EMCジャパンはV-Maxの発表に先立ち、ユーザー企業のITインフラの維持コストを無料で試算する新サービスを4月1日から始めた。サービスの名称は「ITインフラのTCOアセスメント・サービス」。同社のレンタルプログラム「EMCグローバル・ファイナンシャル・プログラム」の1メニューである。主にストレージシステムに関連するコストを洗い出し、レンタルプログラムを適用した場合のコスト削減効果を具体的に示す。このとき従来機より価格性能比が高いV-Maxを効果的に提案する。
さらにEMCジャパンは、レンタル料金を最長1年間据え置くオプションを用意した。ITコスト削減の即効性が高いことを前面に押し出し、投資を抑制する傾向にあるユーザーに対し、V-Maxの導入を促進していく。