日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2009年5月13日、EDSジャパンの協力を受け、メインフレームなどのレガシーシステムを最新のシステム基盤へ移行・再構築するアプリケーション・モダナイゼーション・サービス「AMod(Applications Modernization Services)」の提供を開始すると発表した。
「AMod」サービスは、顧客のレガシーシステムの現状分析を行う「アプリケーション・アセスメントサービス」と、その分析結果に基づいて策定された「モダナイゼーション・ロードマップ」にあわせて実行される7つの「モダナイゼーションアプローチ」で構成される。
アプリケーション・アセスメントサービス
ビジネス、業務機能、技術、財務の4つの観点で、レガシーシステムの現状分析(As Is)を行い、あるべき姿(To Be)を提言。また、現状と将来像のギャップを分析した上で、「モダナイゼーション・ロードマップ」を策定する。モダナイゼーション・ロードマップでは、中長期のIT投資/回収のモデルを提言するとともに、ガバナンスモデルとして、複数年にわたる変革を適切に制御する枠組みを提言する。また、業務やシステムの移行に加え、要員の移行計画を含むトランジションプランも提案していく。
7つのモダナイゼーションアプローチ
策定したモダナイゼーション・ロードマップに基づき、それぞれ「Re」で始まる7つのモダナイゼーションアプローチを柔軟に組み合わせ、顧客の環境に適したモダナイゼーションを計画する。7つのモダナイゼーションアプローチは以下のとおり。
- Re-Learn:コード、データおよびドキュメントを解析
- Re-Factor:コードを改修し、パフォーマンス/保守性を向上
- Re-Host:アプリケーションは変更せず、プラットフォームのみを移行
- Re-Architect:.NETやJavaなど別言語で再構築
- Replace:パッケージソフトなどで置き換え
- Re-Interface:ユーザーインターフェイス、またはシステム連携部を再構築
- Retire:適切な手順でアプリケーションを廃止
AModサービスの推進にあたっては、EDSが有する以下の資産を活用し、効果的・効率的にモダナイゼーションのプロジェクトを運営していくという。
- A3(Agile Application Architecture):EDSが提唱するアーキテクチャの将来像
- Industry Framework:業界固有のプロセス、アーキテクチャについてのグローバルベストプラクティス
- Modernization Framework:検証済みの方法論(WBS、ガイドブックなど)
- CoE(Center of Expertise):労働集約型の業務となるRe-Learn、Re-factorなどで専門家をセンターに集約し、効率性の向上を支援する
- AMod Partner & Tools:グローバル/日本ローカル両方の観点から、戦略パートナー/ツールを選定
発表によれば、米HPは2008年にEDSの買収を完了し、EDSはHPの一事業部になっている。日本においても両社は統合準備を進めているが、現時点では別法人のため、今回は協業という形でのサービス提供になるとのこと。
AModにおいては、ハードウェアやソフトウェアなどインフラ中心のプラットフォーム移行で実績を持つ日本HPのノウハウと、上流コンサルティングやアプリケーション領域での移行サービスに強みをもつEDSジャパンのノウハウを融合することで、トータルなモダナイゼーション・サービスが提案可能になった。両社はそれにより、老朽化したレガシーシステムを抱える顧客を柔軟で俊敏な企業体に変革し、さらなる企業価値の向上を支援していくとしている。
AModに関する情報
http://www.eds.co.jp/services/appli/app/
日本HP
http://www.hp.com/jp