[市場動向]

NTTデータグループ、中堅企業向けERP推進で、新会社NTTデータ・ビズインテグラルを設立

次世代型パッケージ/サービス「Biz∫」を発表

2009年6月2日(火)IT Leaders編集部

NTTデータなど国内ベンダー6社は2009年6月1日、中堅企業向けERPパッケージを開発・販売する新会社「NTTデータ・ビズインテグラル」の設立を発表、同日より営業を開始した。代表取締役社長には、NTTデータ イントラマート社長の中山義人氏が兼務で就任した。

 「Biz∫(ビズインテグラル)は、単なるパッケージではなく、コンサルティングから活用サポートを含めたトータルサービス。新会社は、国内の有力なパッケージベンダーとのパートナーシップにより、それらの総力を「Biz∫」に結集させ、最善のトータルソリューションを提供することを目的とする。NTTデータグループ内外の有力パートナー参画のもと、国内の実績豊富なトータルソリューションの提供を通じて、顧客の変革の実現に向けて取り組む」(NTTデータ・ビズインテグラル)

 設立に加わったのは、NTTデータのほか、グループでソフトウェア開発基盤を開発するNTTデータ イントラマート、中堅向けERPパッケージを開発するNTTデータ システムズ、独立系ベンダーで人事・給与管理システム開発のアイテックス、帳票システム開発のウイングアーク テクノロジーズ、生産・販売管理システム開発の東洋ビジネスエンジニアリングの6社である。

 新会社が開発・提供するBiz∫は、NTTデータ イントラマートのWebアプリケーション基盤「intra-mart」をベースとした中堅企業向けERPパッケージ。サービス指向アーキテクチャ(SOA)を採用しており、intra-martが備えるシステム連携基盤であるエンタープライズサービスバス(ESB)を利用して、NTTデータ システムズのERP製品「Biz∫SCAW」や、新会社が定義した技術仕様に基づいて開発した各社のアプリケーションを組み合わせて利用できる。まずは販売管理とビジネスインテリジェンス(BI)機能の提供からスタートし、財務・人事・生産管理機能を2009年度後半から順次追加していく予定だ。

 業務アプリケーションを相互連携させて市場開拓しようとの動きは、NTTデータ イントラマートやウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングも加盟するベンダー団体、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア コンソーシアム(MIJS)が先行するほか、それ以前にも同様の取り組みがあった。だがユーザー向けサービスとしてアプリケーションの連携を図るには、マスターデータの統合など難しい問題があり、MIJSでも目立った成果が出せていないのが現状だ。

写真1:代表取締役社長に就任した中山義人氏(出典:NTTデータ・ビズインテグラル)

 「今回の発表に先立ち、昨年1年間にわたって共通仕様の議論を重ねてきた。各社はアプリケーションを統一基盤用に再開発するなど、本気で取り組んでいる」(代表取締役社長の中山義人氏、写真1)。

 MIJSの取り組みと競合するのでは、という見方に対して、MIJS副理事を務めるウイングアーク テクノロジーズの内野弘幸社長は「今回の発表は、アプリケーション連携の具体策を検討してきたMIJSの活動の成果であり、今後もMIJSと連携しながら新しい成果を具現化していく」と述べ、あくまで協力関係にあることを強調した。

 NTTデータ・ビズインテグラルは、コンサルティングサービスの充実を他の中堅向けERPベンダーとの違いとして打ち出す考えだ。「出来合いのパッケージではなく、コンサルティングや、導入前後のサポートも含めたトータルソリューションとして提供していく」(中山社長)。

 提供形態はまだ未定ではあるものの、SaaS形式での提供も検討している。「自社でデータセンターを用意してサービスを提供することはなく、SaaSに強い他のNTTグループ企業や外部のパートナーと協業して提供することになる」(中山社長)。

 新会社の資本金は4億5000万円で、出資比率はNTTデータが74.5%、NTTデータ イントラマート、NTTデータ システムズがそれぞれ11.1%、アイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングがそれぞれ1.1%。当初20名程度でスタートし、70名程度の規模まで拡大する予定。

 販売目標として、3年後をメドに200社への製品提供、50億円の売上げを掲げる。販売チャネルは、「中堅に強いNTTデータシステムズのチャネルてこ入れのほか、パートナーのチャネルも活用していく」(中山社長)。価格体系は、現時点では未定。

 Biz∫の主な特徴として以下を挙げている。

  • 最善のトータルソリューション (best-of-breed solution) を実現するオープンな製品戦略
    BPM機能によって他のパッケージとの連携も容易になるため、実績のある有力なパッケージベンダーとオープンな連携戦略を推進し、最善のトータルソリューション (best-of-breed solution) を提供する。
  • システムのライフサイクル全般を支援するプロフェッショナルサービス群
    コンサルティング、導入、運用、改善提案といった企業システムのライフサイクルを考えたサービス体系を整備し、顧客の投資を無駄にしないためのプロフェッショナルサービス群を提供する。
  • SaaS、クラウドにも対応
    新アーキテクチャの基盤には「intra-mart」を採用しており、標準機能としてSaaS、クラウドにも対応しているため、多様な利用形態での活用が可能。
  • 業務の可視化と改善が可能な「ユーザープロセス中心型の次世代型ERP」
    「Biz∫」はSOA化された業務サービス群とBPM機能からなり、業務の可視化が可能となるため、既存業務プロセスへの対応や組み直しを容易にするとともに、その改善やJ-SOX対応に大きな効果を発揮する。従来の機能中心のERPから、業務プロセス改善と効率化を実現するユーザープロセス中心型の次世代型ERPへ進化した。
  • 柔軟性・拡張性に優れ、高い生産性を実現するアーキテクチャ
    「Biz∫」は、ソリューション全体を機能のサービス単位に分解しSOA化したことにより、サービス部品の追加、組み合わせ、再利用、影響の局所化等、柔軟な構造を持ち、生産性向上を図ることが可能。

新会社の概要

  1. 社名:株式会社NTTデータ・ビズインテグラル
  2. 会社所在地:東京都港区赤坂二丁目5番1号
  3. 設立日:2009年5月27日
  4. 資本金:4.5億円
  5. 株主および出資比率
    NTTデータ 74.5%
    NTTデータ イントラマート 11.1%
    NTTデータ システムズ 11.1%
    アイテックス 1.1%
    ウイングアークテクノロジーズ 1.1%
    東洋ビジネスエンジニアリング 1.1%
  6. 役員構成
    代表取締役社長 中山義人(NTTデータ イントラマート・非常勤)
    代表取締役常務 吉崎正英(NTTデータ・常勤)
    取締役 田中秀明(NTTデータ イントラマート・常勤)
    取締役 大西浩之(NTTデータ・常勤)
    取締役 佐藤滋美(NTTデータ・非常勤)
    取締役 島田 晃(NTTデータ システムズ・非常勤)
    監査役 橋本誠一(NTTデータ・非常勤)

NTTデータ・ビズインテグラル
http://biz-integral.com/

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