[イベントレポート]

世界各国から4万3000人が集結、SOAベースの新業務アプリも発表─Oracle OpenWorld 2009

2009年10月11日〜15日 米サンフランシスコ

2009年11月30日(月)IT Leaders編集部

米オラクルの年次イベントであるOracle OpenWorld。今年の会場となったサンフランシスコのモスコーンセンターには、世界各国から約4万3000人が集結。日本からも188人の顧客やパートナーが参加した。時に嵐が吹き荒れるなど、現地はあいにくの天気が続いた。だが熱心な参加者たちは悪天候をものともせず、目当ての講演に少しでも顔を出そうと、複数の会場の間を傘を片手に奔走していたのが印象的だ。

オラクルが掲げたテーマは「Complete, Open, Integrated」。M&Aで自社の製品カバー領域を拡大し垂直統合を志向する一方、標準技術の採用でロックインを嫌う顧客に選択肢を持たせるという、昨今のオラクルの戦略をストレートに表現したものだ。

[基調講演] IBMへの対抗心をあらわに

壇上で堅く握手をするラリー・エリソン氏(右)とマイケル・デル氏 写真1-1 壇上で堅く握手をするラリー・エリソン氏(右)とマイケル・デル氏

初日に最も注目を集めたのは、オラクルのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)と、同社による買収に合意したサン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長の基調講演である。両氏は互いに密接な関係であることをアピールしつつ、「両社の製品や技術の融合でIBMに打ち勝つことができる」(エリソン氏)と、IBMへの対抗心をあらわにした(詳細は弊誌11月号71ページ)。

2日目はオラクルのチャールズ・フィリップス氏とサフラ・キャッツ氏の両社長の基調講演で幕を開けた。フィリップス氏は、「MySQLの行く末を心配している人は、今までのオラクルの取り組みを思い出してほしい。PeopleSoftもJD Edwardsも専属の開発チームを保有し続けている」とし、MySQLへの投資を継続していくことをあらためて明言した。一方のキャッツ氏は「我々はすべての製品分野でナンバーワンになるだけでなく、個々の製品単位でもトップを目指す。同時にオープンな技術を利用し、ユーザーの選択肢を維持していく」と語り、今回のテーマの1つであるオープンへの取り組みを強調した。

両氏の講演の締めくくりとして、同社が毎年公表している「CIO of the Year」の受賞者を発表した。同賞は、オラクル製品を利用しているユーザー企業のCIOから、北米や中南米など世界5地域ごとに毎年1人ずつオラクルが選んで表彰するものだ。日本からは、オムロン執行役員常務 グループ戦略室長である樋口 英雄氏が受賞した。

基調講演会場に集まる来場客
写真1-2 基調講演会場に集まる来場客。会期を通して世界各国から4万3000人ものユーザー・パートナーが参加した

[スペシャルセッション] IT業界の注目人物が集結

3日目以降もIT業界の主要人物が講演した。米デルの会長兼CEOであるマイケル・デル氏の講演の途中にはオラクルのエリソン氏が登壇。デル氏が「当社は自社内でオラクル製品を活用する熱心なユーザーだ」と述べると、エリソン氏は「オラクルの開発用サーバーはほぼすべてがデル製。両社はお互いの製品を使い合っており、単なるパートナー以上の存在だ」と返し、壇上で固く握手をして友好関係をアピールした。

米セールスフォース・ドットコム(SFDC)会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏の講演にも、来場者の多くが注目を寄せた。普段はクラウドの将来性を強調しがちなベニオフ氏だが、今回は「SaaSは自社運用型システムとも共存していける」と主張。それを裏付ける事実として、SFDCのサービスのトランザクションの大半は、オラクルやSAPなどの自社運用型システムからのAPI経由になっていると明かした。

実はベニオフ氏の講演は、モスコーンセンターから少し離れた会場での開催。当日は嵐が吹き荒れていたが、それでも入り口には長蛇の列ができ、700以上用意された席がすぐに埋まる人気ぶりだった。

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