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最大で6000台もの仮想サーバーを稼働、“VCE”3社連合が戦略機「Vblock」を発売

プライベートクラウド基盤 Vblock Infrastructure Package

2010年2月9日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部) 力竹 尚子(IT Leaders編集部)

EMCジャパン、シスコシステムズ、ヴイエムウェアの3社は2010年2月9日、3社の製品をパッケージ化したラック型の仮想化ITインフラ製品を発表した。検証済みの構成として導入コストの削減をうたう。

製品の特徴

Vblock Infrastructure Package
写真:Vblock Infrastructure Package

 EMC、シスコシステムズ、ヴイエムウェアの3社が共同発表した製品の名称は、「Vblock Infrastructure Package(Vblock)」。(1)米VMwareのサーバー仮想化ソフト(VMware vSphere 4)、(2)米Cisco Systemsのブレード型IAサーバー製品(UCS)、(3)米EMCのSANストレージと、SANスイッチ(米Cisco SystemsからのOEM)をセットにしたものだ。これらを1つのラックに納め、多数のサーバーやストレージを収容するデータセンターとして利用できるようにした。

 採用するストレージなどに応じて、3機種用意した。最上位の「Vblock 2」では3000〜6000台の仮想サーバーの稼働を想定。ストレージには、EMC Symmetrix V-Maxを採用する。ミドルレンジの「Vblock 1」では同800〜3000台を想定し、EMC CLARiXをパッケージ化した。最下位の「Vblock0」は同300台〜800台で、EMC Unified Storageを搭載する(この機種は2010年半ばに発売予定)。システム全体の管理ツールには、全機種ともEMC Ionix Unified Infrastructure Mana-ger(UIM)を採用している。

導入メリットと販売体制

 UCSなどを個別に導入する場合と比べたメリットは、製品同士の組み合わせを検証済みであるため、導入期間(コスト)が抑えられる点にある。サポートを3社共同で実施するので、サポート品質も高められる。さらに3社製品それぞれの管理ソフトを連携させ、UIMで統合管理できるようにしたことも挙げられる。3社は、この共同体制を「Virtual Computing Environment(VCE)」連合と呼ぶ。

 実際の販売は、パートナー経由。2月中旬現在、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ、新日鉄ソリューションズ、東芝ソリューション、日本ビジネスシステムズ、ネットマークス、ネットワンシステムズ、ユニアデックスの8社が名乗りを上げている。

 大企業やデータセンター事業者向けに販売する。残念なのは価格が非公開であること。「案件ごとに個別に見積もる」(EMCジャパン)というが、参考価格くらいは提示すべきだろう。

業界動向

 オラクルによるサン・マイクロシステムの買収を皮切りに、大手ITベンダーの合従連衡が相次いでいる。2010年1月には、マイクロソフトとHPがクラウド分野での協業を発表した。ソフト/ハードの垂直統合を果たし、市場での主導権を握ることが狙いである。

 シスコはネットアップやマイクロソフトと、Vblockのような製品を開発中と見られるが、VCE連合も同じ文脈、つまり垂直統合の1つに位置づけられるだろう。EMCジャパンの諸星俊男社長が自ら「仮想化技術、ネットワーク、ストレージのトップベンダーが集まった強者連合」と表現する3社の協業体制は、IT業界で新たな極を形成することになる。

 独自路線を進むIBMとSAPの水面下の動向も気になるところだ。今後、ベンダー勢力図はどう変化していくのか。今のところ表面上の動きがない国産メーカーも含め、提供側の論理に翻弄されないためにもユーザー企業は行方を注視したい。 (日川佳三、力竹尚子)

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