[技術解説]

BPMの全体像をつかむ―業務プロセスの継続的改善、その本義と支援技術

あらためて見つめ直すBPMの価値 Part2

2010年8月10日(火)IT Leaders編集部

業務プロセスを継続的に改善するための基本的なステップと支援ツールの関係を理解する──変化対応力の向上に必須とされるBPM。その概念や関連技術が登場してすでに数年が経過するが、依然として「何から始めればいいのか?」「ツールとの関係性が判然としない」といった声も少なくない。ここではBPMの基本ステップ、そして各フェーズで使われるツールについて全体像を整理してみよう。

まずBPMの基本ステップから。図2-1に示したステップに沿って進めるのが基本である。

図2-1 BPM サイクルを構成する要素
図2-1 BPM サイクルを構成する要素

(1)業務プロセスの図式化

多くの場合、業務処理は暗黙のうちに成立してきた流れや、個別のタスクによって処理されている。普段、仕事の手順を特別に意識することはなく、過去の積み重ねでルーチンワーク的に業務をこなすし、担当者が経験を生かして都度、判断している。

そうした現場の業務の実態や流れを、誰もが把握できるように図式で表現(作成)するのがBPMの第一歩だ。いわゆる「業務プロセスのモデリング」である。作成したモデルは、現状の業務をあるがままに再現したものであるため(as is)、無駄や無理が混在していることがある。そこでこれを元に、無駄を省きかつ無理のないあるべき姿(to be)を作成する。

(2)業務プロセスの実装

to beモデルはあくまでも業務視点でのモデル。これをITで実行可能なモデルに置き換える。BPMN(Business Process Modeling Notation)と呼ばれる標準的な表記法でモデルを作成すれば、BPEL(Business Process Execution Language)というコンピュータで実行可能な言語に自動変換できる。

(3)業務プロセスの実行、(4)業務プロセスの監視/分析

実装を終えたら、あとは業務プロセスを実行する。その状況を監視し、改善できる要素はないか、プロセス上のボトルネックは何か、などを監視/分析し、業務プロセスをさらに高度化する。

業務の粒度設定や実装が課題

以上のように、BPMのステップそのものは単純だが、実施するのは決して簡単ではない。例えばBPMNで規定されているのは図式の表現方法であって、個々の業務のネーミングや、業務の粒度の決め方は、何ら規定されていないからだ。これらはユーザー自身が適切に決める必要がある。

一方、「自然にこなしている例外的な業務処理を、どうモデル化するかも難題の1つ」(日立情報システムズBPMサービス本部の以頭博之本部長)。現状業務(as is)にせよ、あるべき姿(to be)にせよ、企業内のごく一部の事業をモデル化するだけならともかく、事業部門や取引先をまたがったモデリングには、「専門家の支援が必要」とされる。

業務プロセスの実装にしても容易とはいえない。「実装では、既存の業務システムを部品化し、それらを適宜呼び出すようにして業務プロセスを形成する。そのためには、業務システムが持つユーザーインタフェースを切り離し、あらゆる業務システムに共通の、ポータル的なユーザーインタフェース別途用意しなければならない」(アクセンチュアの白川智之パートナー)。

また既存のシステムを組み合わせただけで、新しい業務プロセスを一貫支援できるようになるとは限らない。そこで、新規にシステムを開発する必要が生じる。既存システムを部品として利用できるケースよりも、新規に部品を開発するケースの方が多い場合もある。

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