各種設定作業の効率化を支援、クラウド上のシステム連携も視野に
サービス連携やデータ変換などの機能を担うSOA関連製品は、どのような進化を遂げているのか。 主要製品を一覧するとともに、最近の特徴的な動きを整理する。 データ分析機能の付加や、各種設定作業の効率化を図る動きが顕著だ。
SOAに則ったシステムを構築する上で、中心的な存在となるのがESB製品だ。機能別のサービス群の間に介在し、必要に応じて特定のサービスと接続したり、データを受け渡したりする役目を果たす。HTTPやSOAPなど標準的な通信プロトコルを採用することで、複数サービスと効率的に接続できる環境を提供する。
ESBをうたう主要な製品を一覧したのが表4-1だ。前述の基本機能を備えつつ、ベンダー各社は開発環境や暗号化機構など多彩な機能を付加し、独自色を打ち出している。
SOAを適用する対象を限定し、比較的シンプルなシステム連携を図る用途ではESBだけで事足りるケースもある。一方で適用範囲がある程度の規模になると、サービス群のイエローページとして機能するリポジトリや、実行状況を可視化する監視ツールも必要性が高まってくる。SOAに関わるツール群をまとめ、包括的なソリューションとしての訴求に力を入れているベンダーも多い(表4-2)。
データを高速処理し、分析用途に活用
SOAに基づいて構築したシステムでは、連携するサービス群が扱う多くのデータがESBを行き交う。これらのデータを効率的に分析する機能(あるいは製品)を、SOA製品ファミリーの中に位置付ける動きが出始めた。
日本オラクルの「Oracle Complex Event Processing」は、大量のデータから一定の傾向を抽出し、それに応じたアクションを自動実行する機能を備える。「システムの異常を検知してリカバリを自動実施するなど、さまざまな用途で活用が見込める。専用システムを導入しなくとも、SOA基盤を活用することで実現可能だ。SOAの発展系と位置づけている」(日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 部長 清水照久氏)。
インターシステムズジャパンの「InterSystems Ensemble」もデータ分析機能の付加に力を注ぐ。「専用に用意するデータベースはインデックスに独自の工夫を凝らし、業務要件に応じてほぼリアルタイムデータを分析できる」(インターシステムズジャパン ビジネスディベロップメント シニア・マネージャー 佐藤比呂志氏)。
ソフトウェア・エー・ジーが2010年9月に発表した「webMethods 8 日本語版」もBI機能を追加。SAPジャパンも今後、インメモリー技術を使いデータを高速に分析できるようにする予定だ。
データ統合プラットフォームを提供するインフォマティカ・ジャパンもSOAを強く意識して製品ラインナップを拡充している。最新版の「Informatica 9」は、データ仮想化技術を採用。各システムが扱うデータを1つの仮想的なデータセットとして利用できるサービス「Informatica Data Services」を追加した。物理的にはデータが分散していても、一元的に分析処理などを加えることが可能だ。
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