“クイックPDCA”実現に向けて新たなマネジメント手法を確立へ 「単にBIツールを導入するわけではない。“10年後に世界NO.1のゴルフ総合サービス企業を目指す”という長期ビジョンを実現するための、マネジメント手法の改革が本当の狙いだ」。ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)の中澤氏は、導入中のBI基盤について、こう言い切る。「BIを日常業務に溶け込ませる」(同)ともいう。その意味と実践手法を、中澤氏自身が解説する。(本誌)
企業のIT投資対象はERPや業務システムからBI・DWHといった情報流通システムに移りつつある。厳しさを増す競争環境の中で、「企業内に蓄積された膨大なデータをどう活かすのか?」という視点・ステージに企業の関心が移ってきたことが、その背景にあると思われる。
ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)も同様で、約1年半前に筆者の管轄するマーケティング部は「DWH・BI」の導入に着手した。その目的を一言で言えば、「クイックPDCAの実現」になる。つまりGDOが提供する様々なサービスにおいて、その現状や進捗状況、実績などを、客観的な指標に基づき見える化し、問題の発生や予兆を素早く把握。さらに確実に対応して競争力を向上することだ。そのためにBI基盤の導入と並行する形で、「KPIマネジメント・フレームワーク構築プロジェクト(MFプロジェクト)」も立ち上げた。
筆者は本プロジェクト全体の設計(アーキテクト)を担当し、実践フェーズとなる2011年度においては経営管理部を兼任し、全社的な視点でクイックPDCAの定着を推進する責務を負う(図2-1)。ここではその立場から、“経営に貢献するBI”について、筆者らの考え方を解説する。
クイックPDCAを阻む3つの壁
これまで、多くの企業がBIを導入してきた。そうした先行ユーザーに導入後の経過を尋ねると「導入効果が見えない」「思うように活用が進まない」といった悩みを聞くことが多い。筆者はその理由を、これまでのBIへの取り組みの多くが「見える化」にとどまり、「素早くかつ確実な打ち手=対策の実行」にまで至っていなかったからだと考える。その結果、BIがビジネスにもたらす効果に疑問の声が上がるようになったのだ。
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