日本ヒューレット・パッカードは2011年6月15日、10コアのCPU「Xeon E7」を最大8個搭載するハイエンドPCサーバー機を販売開始した。既存のサーバー機「HP ProLiant DL980 G7」に、米Intelの最新CPUであるXeon E7を載せた。これにより、従来のXeon 7500(8コア)との比較で、SAP SDベンチマークの性能が35%向上したという。価格は、税込みで363万900円から。
ProLiant DL980は、高さ8Uのラックマウント型きょう体に8個のCPUソケットを備えた、SMP(対称型マルチプロセッシング)構成のx86系PCサーバー機。1台のサーバー性能を高めたスケールアップ機であり、大量のトランザクションを高速に処理しなければならないデータベース・サーバーなどの用途に適する。メモリー容量は最大2Tバイト(スロット数は16個)で、インメモリーDB用途などにも適する。
今回、CPUとして、既存のXeon 7500(最大8コア)の代わりにXeon E7(最大10コア)を搭載した構成を用意した。Xeon 7500とXeon E7はソケットに互換性があり、CPU以外の要素に変更はない。なお、DL980 G7は2010年7月に発表し、2010年9月に出荷を開始した機種。一方、Xeon E7は、米Intelが2011年4月に発表したCPUである。
代表的な構成での価格は以下の通り。(a)標準構成でE7-4870(2.4GHz、10コア)を4CPU、メモリーを256Gバイト搭載した機種は、税込みで793万650円。(b)標準構成でE7-2830(2.13GHz、8コア)を4CPU、メモリーを128Gバイト搭載した機種は、税込みで452万8650円。(c)CTO(注文仕様生産)による最小構成時は、E7-4807(1.86GHz、6コア)を4CPU、メモリーが64Gバイトで、363万900円。
なお、DL980の特徴の1つは、CPU同士がノード・コントローラを介して通信する点。CPUが保持するキャッシュの状態を知るために他のCPUに直接問い合わせる必要がないため、キャッシュの整合性をとるための通信負荷が少なくて済む。これにより、8CPUまでリニアに近いかたちで性能が向上する。
1個のCPUは、チップセット接続用のインタフェース(QPI、QuickPath Interconnect)を2本使って、2系統のノード・コントローラに直接つながる仕組み。ノード・コントローラは全部で4個あり、1つのノード・コントローラは、4個のCPUに直接つながる。この状態で、ノード・コントローラ同士がつながる。
このほか、同時に2個のメモリー・チップが故障しても正常に動き続ける仕組みや、IA64サーバーのSuperdomeから受け継いだ信頼性向上機能など、PCサーバーの信頼性を確保するための各種の機能を備える。
写真1:HP ProLiant DL980 G7の外観