[市場動向]

グローバル時代の情報動脈へ、ERPが担う価値

今、改めてERPの価値を見直す 序章

2011年7月5日(火)IT Leaders編集部

日々の企業活動で生じる製造や販売、在庫などのデータをどう活用し、競争力に結びつけるか─。多くの企業がかねてから抱える課題だ。昨今の世の動きに注目すると、ソーシャル技術の台頭で情報流通のスピードは飛躍的に速まっている。消費者の声をリアルタイムで入手し、マーケティングに生かす企業も多い。

転じて、企業内の情報流通はどうか。拠点や部門ごとにシステムはバラバラ。いくつものインタフェースを経由し、複雑に絡み合っている。このため、全社としての実績傾向値や、各国の事業活動の詳細を把握するには、月次あるいは週次のバッチ処理でデータが集約されるのを待たなければならないケースが散見される。「製品やサービスのライフサイクルがますます短くなる状況下、精度の高い意思決定を下すには、1日前の情報でも遅いくらいだ」(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部の米澤創一エグゼクティブ・パートナー)。にもかかわらず、ほしいデータがほしい時に手に入らない。

企業もふがいなさを自覚している。本誌が2011年5月、ERP研究推進フォーラムと共同で実施した「ERP満足度調査」で、現行の基幹系システムに対する満足度を聞いたところ、「経営管理の高度化」という評価軸では「あまり満足していない」「全く満足していない」という回答が合わせて67.3%を占めた。

ERP導入済みの企業でも、事情はあまり変わらない。15年ほど前に世に登場したERPは、人、モノ、金といった経営リソースの動きを一元管理し、適正な意思決定の材料を提供するはずだった。だが、導入に踏み切っても、そのポテンシャルを生かしきれている例は決して多くない。会計など限定的な導入、既存システムとの強引なつなぎ、過度のカスタマイズといった要因が重なり合い、調和性や即時性に欠けたシステムができてしまった。この点では、製品機能とは別の次元に元凶があったとも言える。

一方でERPそのものに注目すると、能力や機能は着実に進化を遂げている。「インメモリー技術などの実用化が目覚ましい。取引条件に応じて業務プロセスをダイナミックに修正するなど、真の意味でのリアルタイム経営を支える素地が整ってきた」(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部の渡辺哲弥プリンシパル)。

内需低迷によるグローバル化、需要や為替の急変動、商品サイクルの短期化などを背景に、企業には今、何よりもスピーディーな意思決定力が求められている。それを支えるのは、ビジネスの現況を即座に把握し行動に移せる情報基盤だ。グローバル標準の業務プロセスや各種法制度への対応などを考慮したERPパッケージは、合理的かつ効率的に“情報動脈”を整える有力な選択肢となろう。「人材の流動性が高い海外において、独自システムはリスクになり得る。グローバル時代の事業継続という観点からもERP導入を積極的に検討しなければならない」(クニエの宿谷俊夫ディレクター)。

世界的視野で成長戦略を練らなければならない今、改めてERPの価値を見直すべき時期が到来している。

図1-1 自社の基幹システムに対する満足度
図1-1 自社の基幹システムに対する満足度
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