場所や時間の制約を超えて、ビジネスパーソンの結束力や生産性をいかに高めていくか──。そんなコラボレーションの最前線に迫るイベント、「Lotus Knows Expo 2011」が今年も開催される<東京:10/7(金)、大阪:10/14(金)>。IBMのLotus Notes/Domino製品ファミリや、パートナー各社のソリューション群が一堂に集められることから、最新の機能や実効性ある活用ノウハウを肌で感じ取れる有意義な場として期待される。開催に先立ち、主催パートナー企業7社の担当者が集まり、今年の見所などについて語り合った。
写真 Lotusパートナー座談会に出席したメンバーの方々(各氏のプロフィールはこちら)
ピンチをチャンスに。今がコラボレーション環境を見直す転換期
(司会)今年、コミュニケーションやコラボレーションを語る上で絶対に外せないのが、東日本大震災の影響です。その前後でお客様企業のコラボレーション環境に対する意識はどう変わったのか、あるいは今後、どのように変化していくべきなのか。初めにこの点について、皆様のご意見をお聞かせください。
リコージャパン 宮脇氏:震災直後、交通機関が止まって自宅待機を余儀なくされたが、その環境では仕事ができないという事態が発生しました。これまでほとんど気付くことのなかったコミュニケーションあるいはコラボレーション上の課題が浮き彫りになったのです。
こうした事態を受けて、モバイル端末から社内システムへアクセスする環境の整備や、紙ベースで行ってきた業務の電子化などに対するお客様の取り組み姿勢が、真剣度を増してきたと感じています。
特に前者については、個人情報保護法の施行以来、セキュリティ上の不安から各企業とも足踏みをされていたのですが、その制約が一気に外れた気がします。後者についても、例え自宅や外出先から社内システムにアクセスできたとしても、仕事自体が紙ベースで回っていれば全く意味がありません。その時にLotus Notes/Dominoを利用すれば、業務の電子化を図ることができる。
こうした環境改善のシナリオは、お客様にすっと受け入れていただけるようになりました。震災自体はとても不幸な出来事でした。しかし、この逆境を乗り越えてこそ、日本の企業は大きく生まれ変わることができるのだと思います。
大塚商会 丸山氏:震災時に大きな問題となったのは、電話が通じず、周りの人たちの安否確認がなかなか取れなったことです。そこで大きな威力を発揮したのが、TwitterやFacebookでした。いわゆる「ソーシャルメディア」と呼ばれるものです。しかも利用料金はかかりません。3.11以降、こうした仕組みにお客様の目が大きく向き始めたことを感じています。実際に商談の中には、“Lotus Notes/Domino 対 Twitter”という図式のコンペも出てくるようになりました。
しかしTwitterの企業ユースにはセキュリティ面からも不安が残り、一方、Lotus製品群には、IBM ConnectionsやIBM LotusLiveといった優れた製品により「ソーシャル」が実現できます。こうした情報をいかに的確にお客様にお届けして、Lotus製品の有用性をご理解いただくか。私たちにとっても、新たに生まれた大きな課題だと捉えています。
日立製作所 林氏:私の部署では、Lotus Notes/Dominoをお客様環境に合わせSaaS型で提供するなどのアウトソーシング事業を行っていますが、震災後、データセンターに自社サーバーを配置したいというお客様からの引き合いが倍増しています。そうした流れを見ていると、今後はクラウドサービスとしてシステムを利用するという需要が大きく伸びてくるのではないかと考えています。
CSK 後藤氏:弊社でも同じく、データセンターに自社システムを置きたいというお客様のご要望が非常に増えています。具体的には、DR(ディザスタリカバリ)対策としてのものですね。例えば5月には、Dominoサーバーを自社内に置いている東京のお客様から、西日本にも同じ環境を用意したいというご相談をいただきました。まずはホスティングサービスを利用して事業継続性を担保しておこうというものです。関西のお客様なら九州や沖縄、あるいはパブリッククラウド上へ。こうしたニーズの高まりを感じています。
キーウェアサービス 高橋氏:震災後の計画停電で、弊社自身、社内に置いていたサーバーに対する対策に迫られました。これを受けて、8月には社内サーバーをデータセンターに移設しています。同様の対応策を採りたいというお客様からの引き合いも数多くありますね。またインフラ部分はクラウドサービスを利用して、その上に載せるLotus Notes/Dominoの環境は自社で管理したいというお話も出てきました。
さらに緊急時のコミュニケーション手段として、通常のメールアカウントとは別のアカウントを従業員に配布しておくべきではないかというご相談もいただいています。
日本ビジネスコンピューター 富来氏:先ほどからも話題に出ていますが、今回の震災で個人的に強く感じたのが、周囲の安否確認を取る手段の重要性です。お客様の中にも、“仮に業務ができなくなっても、確実に連絡が取れる手段を従業員全員に持たせたい”と考えられるところが増えてきました。
Lotusにはリアルタイムコラボレーションを実現するIBM Sametimeという製品があり、弊社でも使っていますが、私自身、震災後は自分の関係する人たちをきちんとリスト化して、在席中か、会話がすぐにできる状態か、といったステイタスを意識するようになりました。
こうしたスタンスの変化はお客様の中にも表れてきているようで、リアルタイムな在席確認なら現在利用中のLotus Notes/Dominoに標準で搭載されていますので、すぐにでも使ってみたいというご要望を数多くいただくようになりました。
また、今まで承認フローを紙ベースで運用されたお客様も、IT化する事により自宅や社外からでも業務可能ということで、ご相談も増えています。
ただ、現在利用中のLotus Notes/Dominoが旧バージョンであることから、モバイル対応やワークフローを実装する為に、バージョンアップも合せて検討されるお客様も多いですね。
アクロス 木村氏:震災後、あるお客様から興味深いお話しを聞くことができました。いわく、『これまで会社の中で一番倒れていけないのは基幹システムだと思っていたが、やはりメールが一番重要だ、メールは仕事のカナメだ』と。その役員の方は、グループウェアやメールなどに対する投資の考え方が大きく変わったともおっしゃっていました。3.11以降、お客様のコラボレーション環境に対する認識が一歩前に進んだと考えています。
これはモバイル環境の構築やクラウドサービスの利用に対しても同様で、外から社内システムを利用できるようにしておいたほうがいいのではないかというお話しが出てきたり、これまで社外にサーバーは置かないといっていたお客様がクラウドの利用を検討し始めたりされています。
また、今回の震災でTwitterやFacebookが一気に認知され、今までご存知で無かった経営層の皆様にも、ソーシャルウェアという言葉が広く伝わりました。ソーシャルウェアは実際に使ってみなければ、何が良いのか、新しいワークスタイルや技術的なアイデアなどの発想がどのように生まれてくるのか実感できません。そこで私たちは、IBM Connectionsをトライアルするためのプロジェクトを積極的に提案しており、既に数社のお客様に導入し、ソーシャルウェアを実感いただいています。
企業向けソーシャルウェアの価値を理解いただくために、IBMには日本国内だけでなく海外での導入実績も多数あるので、そうした事例を紹介し、日本のお客様向けに、自社での導入の具体的な活用シーンや活用効果をイメージしていただけるようなご提案を私たちはしていきたいと思っています。
Lotus Notes/Dominoの使い方を見直すこと。実はそれが環境変化への一番の近道
(司会)まさに今が、コラボレーション環境を見直すための大きな転換期にあるということはよく分かりました。その一方、では実際に、何から手を付けていいのか分からないというユーザー企業も多いと思います。具体的には、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。
リコージャパン 宮脇氏:何かを変える時に多くのお客様が勘違いされているのは、“今使っているツールを変えなければならない”と思い込まれていること。例えばLotus Notes/Dominoをきちんと使いこなしていないのに、変化のためには別のツールを入れ直さなければならないと考えられているのです。
それ以前にまず、今お使いのLotus Notes/Dominoで利用できていない機能が無いのか、そもそも使い方がおかしいのではないか、と疑ってみることが何よりも重要です。そしてそれを我々にご相談いただく。Lotus Notes/Dominoには、お客様の業務改善要求にも十分に対応できる有用な機能が山ほど盛り込まれています。それらを使い切ること。
こうしたアプローチこそ、投下するコストを最小限に抑え、費用対効果を上げるための方法で、より速いスピードで変化も起こすことができるのです。
アクロス 木村氏:同感です。さらに付け加えるなら、Lotus Notes/Dominoには長年培ってきた豊富な機能が盛り込まれています。それはあくまで業務視点から、かゆい所に手が届く、ちょっと便利で、ちょっと効率があがる機能の集合体です。他の製品に目が向いているお客様は、ツールのリプレイスに力を入れるのではなく、“そもそも何を実現したいのか”に立ち返り、業務の視点から改めてLotus Notes/Dominoの機能を見直していただきたいと思います。
CSK 後藤氏:弊社のお客様に、IBM Connectionsを導入された栗本鐵工所様という会社があります。その理由は、ソーシャル機能を導入したいという“機能ありき”の動機ではなく、今のお話にあったように、“社内研修後の技術者同士の横のつながりを、いかに継続させられるか”という経営課題からの導入でした。ソーシャルメディアというキーワードではなく、組織の中でどんな繋がりを重要視するのか、という会社としてのテーマがあったのです。そうしたお客様に対して、Lotus製品群は十分にお応えできるだけの潜在能力を持っていると思います。
キーウェアサービス 高橋氏:Lotus Notes/Dominoを導入したのはいいけれど、半年後には古い掲示板だけが残り、情報の更新やユーザのアクセスもほとんど無くなってしまった、というお客様もあるようです。Lotusパートナーとしては、そうしたお客様に対して、もっと新しい使い方や情報更新の仕組みをご提案していく必要があると思います。これは我々自身の課題だと認識しています。
大塚商会 丸山氏:まさにおっしゃる通りで、Lotus Notes/Dominoはカットオーバーさせて終わりではなく、本来、情報システム部門の皆様にとっては、そこからが苦しみの始まりです。導入後はさらに進化させ続けなければならない。そのためにはPDCAサイクルを回す必要があります。是非この重要ポイントをご理解いただき、我々にもご相談いただきならが、改善サイクルを回していただきたいと思います。
「Lotus Knows Expo 2011」が、コラボレーション環境再構築の大きなヒントになる
(司会)それでは今年の各社様の見どころやトピックスについて、お聞かせいただけますか。
アクロス 木村氏:私たちは、ソーシャルウェアが企業でどう使えるのかというところを、事例を含めてお見せすることを考えています。今後、Lotus Notes/Dominoとどう使い分けるのかといった点など、さらにどんどん踏み込んでいきたいと思います。
大塚商会 丸山氏:今年私は「IBM Champions for IBM Collaboration Solutions」を受賞いたしました。今回のイベントでは、もう1人のIBM Championと共に、Lotus Notes/Dominoの利用を止めることを考えているユーザー企業の分析セミナーを企画しています。私がユーザー企業の立場、もう1人のIBM Championが色々な角度からアドバイスする立場に立ち、討論するというものです。
会社としての展示では、オフィスサイネージ(Signage:看板)とLotus Notes/Dominoの連携をお見せしたいと思っています。Lotus Notes/Dominoのコンテンツや資料をオフィス内のディスプレイに流すことで、従業員同士の情報共有を実現するというものです。
キーウェアサービス 高橋氏:弊社は、モバイル環境あるいはスマートフォンとLotus Notes/Dominoとの連携や、自社のワークフロー製品である「まいきゃびWorkflow」などを絡めたLotus Notes/Dominoの活用方法についてご紹介したいと思います。
CSK 後藤氏:弊社セッションの中心はIBM Connectionsで、モバイル環境からの利用法やLotus Notes/Dominoとの連携など、IBM Connectionsを企業内でどう活用していくのかといったポイントを訴求したいと考えています。
日本ビジネスコンピューター 富来氏:今、弊社自身でもモバイル環境の整備を推し進めており、今回のイベントでは、自社の導入事例も含めたモバイル対応ソリューションをご紹介したいと思っています。
日立製作所 林氏:私たちはLotus Notes/Dominoのみならず、データセンターのファシリティやPaaSも含め、どう業務改善をしていくか、事業継続を担保するかという経営課題も前面に押し出して、包括的なアウトソーシングサービスとして説明させていただきたいと考えています。
リコージャパン 宮脇氏:今回の弊社の目玉は、データベースの設計変更をあまりすることなく、XPagesを利用してLotus Notes/DominoをiPhoneやiPadといったスマートデバイスに対応させるためのソリューションです。今年発表した「Lotus Notes/Domino 環境リフォームサービス」の一環です。
(司会)本日はどうもありがとうございました。
【Lotusパートナー座談会:出席者&自己紹介】
アクロス株式会社
カスタマーリレーショングループ 東日本統括
木村 隆氏
私たちはLotus製品に特化したシステムインテグレーション事業を行っており、毎年このイベントでの講演、ブース出展を通し、弊社の熱い想いを発信しています。お客様からは、この先もLotus Notes/Dominoを使い続けていいのだろうかとご相談いただくこともあります。その原因は必要な情報が不足していることと、まだまだLotus Notes/Dominoを効果的に活用しきれていないことではないでしょうか。是非このイベントにお越しいただき、私たちとお話しいただくことで、今後の指針となる新たな発見をしていただけると確信しています。
株式会社大塚商会
マーケティング本部 プロダクトプロモーション部 IBMソフト担当 課長
丸山 義夫氏
Twitter:@Dominomaru
弊社はLotus製品のソリューションベンダーとして活動しており、私個人としてもLotus製品との関わりは15年目を迎えました。本年には日本人初という「IBM Champions for IBM Collaboration Solutions」も受賞いたしました。Lotusは非常に優れた製品群です。そこにIBMの技術力とお客様に近い我々パートナーのソリューションが加わることで、唯一無二のコラボレーション基盤となり得ると考えています。このイベントで是非、体感していただければと思います。
キーウェアサービス株式会社
営業部 チーフ
高橋 達義氏
弊社ではLotus Notes/Dominoをベースにしたワークフローソリューションなどをご提供していますが、私も入社以来、約10年、Lotus Notes/Dominoのバージョンアップやアプリケーション開発、あるいは弊社独自製品の営業に携わってきました。このイベントにも毎年出展させていただいていますが、昨年からはIBMとLotusパートナーズとの共同主催となり、こうした座談会も企画されるようになりました。今後はパートナーのみならず、お客様の声もイベントに採り入れていければと考えています。
株式会社CSK
西日本事業本部 ソリューション営業部 ソリューション営業課
後藤 武司氏
我々はLotus Notes/Dominoのマイグレーションなどをご支援させていただいていますが、弊社自身もLotus Notes/Dominoのユーザーであり、この優秀な製品を様々な用途に使っていこうと日々考えています。最近ではIBM Connectionsの拡販にも注力しており、実際にご導入いただいたお客様の事例も出始めました。今回のイベントでも是非ご紹介させていただきたいと考えています。
日本ビジネスコンピューター株式会社
マーケティング ソリューション推進 サービスソリューション開発
富来 奈津子氏
弊社はIBM製品を核としたシステムインテグレーション事業を展開していますが、我々もまたLotus Notes/Dominoユーザーです。私は入社時からLotus製品に関わり、SE、営業担当を経て現在はマーケティングに従事しています。弊社の強みは、ユーザーとしての視点と数多くのお客様課題を解決したノウハウです。私自身、Lotus製品の大ファンで、今回のイベントでは、より多くのお客様にLotus製品の素晴らしさをお伝えできればと考えています。
株式会社日立製作所
ITサービス事業部 サービス事業開発本部 技師
林 秀樹氏
私の所属する部署では、データセンターを核に、SaaSやPaaSも含めたアウトソーシング事業を展開しており、現在Lotus Notes/Dominoをお客様環境に合わせ提供するSaaS型サービスを行っております。このイベントでやはりご覧いただきたいのは、製品を提供するIBMとソリューションを提供する我々とのコラボレーション。IBMとLotusパートナーズとの共同主催の意義も、まさにこの点にあると思います。
リコージャパン株式会社
ソリューション事業本部 ソリューション推進センター MA/LAソリューション推進室 室長
宮脇 崇裕氏
Lotus Notes/Dominoをご利用のお客様から費用対効果の改善に関する相談を受けることがあります。その際に考えるべきポイントは、Lotus Notes/Dominoを使って、“いかに業務改善に寄与できるか”ということです。Lotus Notes/Dominoのユーザーでもある弊社では、そうした観点から自社利用ノウハウをベースにしたSIソリューションをご提供させていただいており、最近ではLotus Notes/Dominoのリフォームサービスも開始しました。今回もまたこのイベントに参加させていただけることを感謝しています。