[市場動向]

BizOpsとは何か?─経営・IT・現場を“トリリンガル”でつなぐ仕事

戦略を業務に落とし込み、組織を滑らかに動かす

2025年6月24日(火)望月 茉梨藻

読者の皆さんは、「BizOps(ビズオプス)」という言葉を聞いたことがありますか? BusinessとOperationsを組み合わせてできたBizOpsは、経営戦略や構想を実際の業務プロセスや仕組みに落とし込み、定着させる実行支援型の職能のことです。具体的には、部門横断のKPI設計、ツールの導入・運用最適化、業務フローの再設計、データ整備、業務の標準化などを担い、経営やITとも密接に関わる仕事を担います。本稿では、「始めて聞いた言葉だ」「最近流行の○○Opsでしょう? お腹いっぱいかも」といった方にも、BizOpsの“中身”を知っていただけるよう説明します。

BizOpsとは? 何をする人?

 近年、SalesOps、MOPs、CSOps、RevOpsなど、さまざまな「〇〇Ops」という職能が登場しています。その中で「BizOps(Business Operations、ビズオプス)」という言葉も少しずつ浸透してきました。現在、私は一般社団法人BizOps協会の理事として、この職能の認知拡大や定義の整理に取り組んでいます。その中で感じるのは、BizOpsに関心が集まりつつあるものの、「実際には何をする仕事なのか?」「他のOps職とどう違うのか?」という疑問がまだ多いということです。

 BizOpsとは何か。一言で言い表すなら、「戦略や構想を業務プロセスや仕組みとして定着させるための実行支援型の職能」となります。裏方的な業務支援ではありません。経営、IT、そして現場の業務という三者の“言語”を翻訳して接続し、組織を滑らかに動かす“組織内トリリンガル”として活動します。

 経営が掲げる戦略と、現場が直面する実務の課題、そしてそれらを支えるITの仕組み。この三者のあいだには往々にして“ズレ”が生じます。BizOpsはこのズレを埋め、戦略を業務に落とし込み、組織が意図どおりに動くための土台を整える職能なのです。

 では、BizOpsに携わる担当者は組織でどんな活動をするのでしょうか。具体的には、以下のような業務を担います。

 ●部門横断のKPIの設計およびダッシュボードの整備
 ●Salesforceなどツールの導入設計と運用最適化
 ●業務フローの整理と部門間連携の再設計
 ●データ整合性の確保と、それをメンバーが活用するためのルール設計
 ●属人化していた業務の標準化と改善サイクルの運用

 こうした実務はすべて、「事業が意図どおりに回る構造を作る」という目的の下でなされます。つまり、BizOpsは「構想を仕組みに、そして習慣へ」と変換していくことを実行し、組織の運営において中核的な支援役をはたします。

 また、経営にとって必要な情報を適切に可視化することを通じて意思決定のリードタイムを短縮するのもBizOpsの重要なミッションとなります。KPI設計やダッシュボード構築、業務データの整備などを通じて、データドリブン経営を実現する足場を築く役目を担っているのです。

●Next:BizOpsと似たいくつかの職能、それらと何が違う?

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