「ユーザーエクスペリエンスはECサイトやゲームの世界では重要かも知れないが、企業システムには関係ない」。もはや、そんな考えは通用しない。UXとは何かを知り、その改善に向けて具体策を練るべきときだ。
Part1において、UXを「システムとそれを利用する人との間に生じる相互作用のこと」とした。ユーザーが、ユーザーインタフェース(UI)を通じて体験する内容の総称がUXである(図2-1)。しかし、UXの定義は一意に決まっているわけではない。様々な組織や研究者が、UXの定義を試みている。

図2-1 UXは見た目だけではない。UIを通じて利用するシステム機能もUXに影響する
まず、国際標準化機構の定義を見てみよう。ISO9241-210は、ユーザーエクスペリエンスを「製品、システムまたはサービスに対する使用、および/または使用を予想したときの人の知覚と反応」と記述している。
一方、米国の科学コンピューティング協会であるACM(the Association for Computing Machinery :情報科学国際交流財団が日本支部を運営)は、UXを「機能」「ユーザビリティ」「楽しさ」の3要素からなるピラミッド構造で説明する(図2-2)。

図2-2 ACMによるUXのピラミッドモデル
ACMのモデルにおける機能とは、ユーザーがシステムを利用する際の直接的な相互作用の内容を指す。具体的には、動作や表示内容、音、振動、デザインなどだ。ユーザーインタフェースもここに入る。ユーザビリティは、機能がユーザーにもたらす有効性や操作性、満足度、視認性、効率などである。
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