ビッグデータクライシスを乗り越えろ これからの時代には“データ管理課”も必要に ビッグデータ時代を迎えた現在、企業は「データ管理課」を設置すべきとインフォテリアの油野達也氏は強調する。増え続けるデータをビジネスに有効に活用していくために、企業はデータをどのように管理していけばよいのだろうか。同社のソリューションの特徴とともに実効性のある取り組み方法を会場に訴えた。
ビッグデータは今に始まったことではない
執行役員
エンタープライズ事業部長
油野 達也 氏
「1990年までを“スモールデータ時代”とするなら、1990〜2000年は第1次ビッグデータ時代。データセンターが登場して、データが大きい状態でも流せるようになった2010年までが第2次ビッグデータ時代。そしてクラウドやモバイル、位置情報などのテクノロジと結びついた現在が第3次ビッグデータ時代だ」。こう語るのはインフォテリアの油野達也氏だ。ビッグデータは今に始まった話ではなく、以前から連綿とつながってきた流れの結果に過ぎないという。
そして第3次ビッグデータの現在、油野氏が指摘するのが“ビッグデータクライシス”という状況だ。これはデータ量が“クライシス”というだけでなく、データの品質がクライシスであるという意味が込められている。「マスターデータの品質不良が原因で発生するデータも品質不良となる。汚いデータが膨大な量になるという状況は現在の隠されたクライシスだと言っていい」(油野氏)。
クラウド時代を迎え
データ管理手法も見直しを
さらに油野氏はデータを巡るもう1つの問題点としてクラウドとの関連を挙げる。クラウドのメリットの1つはコスト削減にあったはずなのに、「コストが下がらない」という声が非常に多いと油野氏。その理由を「データ管理の手法が以前と変わっていないから。システムのコストが下がってもデータ管理のコストが下がらない」と分析する。
これを解決するにはデータ管理のしくみを導入する必要があると強調。具体的には同社の「ASTERIA」などのパッケージ製品を利用する方法などがあるが、「データをクラウドに置いてもインハウスに置いても、データを管理するという業務は必ず残る。だからこそ企業はデータ管理課を設置し、データ管理のエキスパートである“データスチュワード”を育成するべき」と訴える。データを管理できる組織や人材を整えることが、競争優位を保つためには不可欠との主張だ。
データ品質の維持・向上には徹底したガバナンスも必要に
また、データの品質を高め、隠れたデータクライシスを防ぐには「ガバナンスが必要」と油野氏は強調する。「たとえば工場で必要なデータと販売で必要なデータは違う。必要なデータは場所や時期、部署によって変わる。だからこそ管理項目とユーザニーズが合致しているかをチェックし、サイクリックに見直す品質チェックが欠かせない。ビッグデータとガバナンスは対で考えるべき」(油野氏)
ビッグデータ時代でもう1つ企業が対処しなければならない課題がモバイルデバイスの扱いだ。とくにスマートフォンやタブレットの普及で、外出先からでも情報を閲覧するスタイルが一般的になりつつある。客先で提示する資料も、紙に印刷するのではなくPDFなどのデータで持ち歩くことも珍しくない。モバイルデバイスに適した形でのデータ配信/共有技術が強く求められている現在、「自分で対応するよりも、すでにある製品(インフォテリアのHandbook)を使ったほうが効率的」と油野氏。モバイルへの対応は強い需要が生じている分野でもあり、対応の速さが勝負のカギになりそうだ。
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