[市場動向]

電子政府目指した任意団体が社団法人に、スマートシティに向けた政策提言や実証活動を強化

2013年4月23日(火)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

クラウドを使った電子政府・電子自治体の実現を目指してきた任意団体のオープンガバメントクラウド・コンソーシアムは2013年4月22日、一般社団法人化を図ると同時に、名称を「オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)」に変更したと発表した。

写真1:オープンガバメント・コンソーシアムの須藤修会長
写真1:オープンガバメント・コンソーシアムの須藤修
会長

 クラウドを使った電子政府・電子自治体の実現を目指してきた任意団体のオープンガバメントクラウド・コンソーシアムは2013年4月22日、一般社団法人化を図ると同時に、名称を「オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)」に変更したと発表した。これまでの政策提言活動に加え、スマートシティ実現に向けたIT基盤などの実証実験などにも積極的に関与することで、より具体的な仕組みや各種標準を確立・訴求したい考えだ。

 OGC会長の須藤 修氏(東京大学大学院情報学環長・教授)は、「マイナンバー法案(個人番号利用法案)が視野に入ってきたことで、社会ITインフラの環境は大きく変わってくる。OGCは官民連携を推し進め、より効率的で質の高い社会の実現に働きかけていく」と、新組織の位置づけ話した(写真1)。組織名からクラウドを外したことについては、「クラウドは特別な存在ではなくなり、その利用が前提になったためだ」と説明する。

写真2:OGCの提言力に期待を寄せた内閣常任委員長の平井たくや衆議院議員
写真2:OGCの提言力に期待を寄せた内閣常任委員
長の平井たくや衆議院議員

 発表会に同席した内閣府常任委員長で自由民主党のIT戦略特命委員長を務める平井たくや衆議院議員は、「しっかりとしたクラウドを作るための活動はまだ必要だが、新しいIT戦略を今夏にはまとめ来年度予算に盛り込んでく。国民の利便性を追求するためにも、OGCの提言力に期待する」との期待を寄せた(写真2)。

 OGCは今後、これからの社会インフラの実現に向け、6つの分科会を立ち上げる。(1)スマート社会実現のための通信インタフェース、(2)医療コンバージェンス(統合)クラウドシステムの提言・促進、(3)サイバーセキュリティに関する提言、(4)高度IT人材の育成、(5)シチズンセントリック(市民中心)なスマート社会環境構築、(6)HTML5の普及、である。

 これらの成果の具体例として、バイオメトリクス情報を活用した本人認証基盤や、医療関連情報を国家規模で流通・共有するための基盤、およびオープンデータの活用による経済効果などを挙げる。

写真3:OGC代表理事の中村彰二朗氏
写真3:OGC代表理事の中村彰二朗氏

 代表理事の中村 彰二朗氏(アクセンチュア福島イノベーションセンター長)は、「電子政府・電子自治体を超え、『シチズンセントリック(市民中心)』な地域全体を考えていきたい。東北地方の復興も、国民全体が地域を考えることの契機になっている。法人格を得たことで、これまでの政策提言に加え、実証実験にも積極的に参画していく。税金に頼らないビジネスモデルの確立に取り組む」とした。

 新しいビジネスモデルの例としては、福島県会津若松市では、シチズンセントリック型都市型OSの実現に向けた取り組みを挙げる。そこでは、市民がスマートメーターを導入し、電力使用量の削減を競うが、削減できた電気代を単に市民に還元するのではなく、システムやサービスに再投資することで、税金への依存度を下げているという。

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