調剤薬局を全国展開する日本調剤は、処方箋を分析する基盤にインサイトテクノロジーの「Insight Qube」を採用した。必ずしも実績が豊富ではない製品を選定する上でリスクはなかったのか。その導入効果は十分足るものなのか。導入に携わったシステム部門とユーザー部門の3人に話を聞いた。聞き手:本誌副編集長 川上 潤司 Photo:陶山 勉

河野 文隆 氏
―データの利活用を成長のエンジンにするべく、データ分析基盤の整備とデータ活用に取り組んでいると聞きました。さっそく本題に入りたいところですが、まずは日本調剤について教えてください。
河野 確かに知る人ぞ知る会社かも知れませんね。当社は全国に約480の調剤薬局を展開している会社です。調剤薬局というのは普通の薬局とは少し違って、医師が書いた処方箋に基づいて薬を用意し、患者さんに提供するのが主な業務です。
―病院などの近くにある薬局ですよね。なんというか、データを分析しなくても処方箋通りの薬を出せば、後はレセプト処理(調剤報酬の請求処理)だけで業務が回る業種に思えますが…。
河野 それがまったく違うんですよ。医師と薬剤師が役割分担して患者さんの立場にたった医療業務をという考え方、つまり医薬分業が調剤薬局を成り立たせています。もちろん医薬分業は正しい方向なのですが、結果として調剤薬局は飽和状態になっているんです。しかも、ご存じの通り医療保険制度の財政は厳しい。そうした中で事業展開するには、患者さんから選ばれる存在にならないといけないのです。
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