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[ザ・プロジェクト]

リコーのグローバルデータ基盤プロジェクト「GLIDER」の軌跡と成果

データ駆動型経営が導くデジタルサービス企業の未来

2025年1月28日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)

「デジタルサービスの会社」への事業変革に注力しているリコーでは、顧客の業務デジタル化支援の傍らで、自社業務の最適化や課題解決に向け、戦略的なIT活用でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。なかでも力を注いでいるのがグローバル共通データ基盤構築プロジェクト「GLIDER」だ。投下資本利益率(ROIC)経営や事業成長を加速させるデータ基盤を志向し、全社的にデータを統合・集約する仕組みを構築し、多岐にわたるデータの活用でビジネス価値を引き出すための環境を整えている。プロジェクトのキーパーソンに、取り組みの経緯やデータ基盤のコンセプト、データ活用の将来像について聞いた。

経営と事業成長を担うグローバル共通データ基盤を構築

 1977年にオフィスオートメーション(OA)を提唱し、2020年にはOAメーカーから「デジタルサービスの会社への変革」を宣言したリコー。顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援すると同時に、自らも業務の効率化やサービス改善、経験の蓄積のために、グループを挙げてDXの推進に取り組んでいる。

 リコーのDXにおける主要戦略の1つに「プロセス・IT・データ 三位一体の推進」がある。社内業務のプロセスをデジタルやデータで可視化・最適化する「プロセスDX」の実践や、エンタープライズアーキテクチャ(EA)に基づくERPなどの業務システム刷新・クラウド化などの施策を掲げている(関連記事オペレーショナルエクセレンスを追求し、全社で取り組むリコーの「プロセスDX」)。

 その一環として、データ駆動型マネジメントの実現に向けた取り組みにも力を注ぐ。約200の国・地域に事業展開しているリコーグループは、デジタルサービスへの事業転換に合わせて、関連会社をリージョンごとに北米・中南米・欧州・アジア・日本の5つの「極」に分けた形に変更(図1)。経営を担う本社が、各極の業績や売上事業の状況をデータで管理するために求められるのが、データを統合・集約するための基盤構築だ。

図1:顧客接点における価値創造能力の向上へ、2024年4月からリコーグループが事業を展開する地域区分を5つに変更(出典:リコー)
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 リコーは2017年から「GLIDER(グライダー)」と呼ぶデータ基盤構築プロジェクトに取り組んでいる。「GLobal Integrated Data Empowering Ricoh」の略称を冠し、トランザクションデータのグローバル統合を主眼とする。

 リコー デジタル戦略部 プロセス・IT・データ統括 副統括長 コーポレートIT統括センター 所長の浜中啓恒氏(写真1)は、「データ駆動型マネジメントにおいて不可欠な要素は、オペレーションのためのデータ基盤、経営そのものを支えるデータ基盤、事業成長に向けたデータ基盤の3つです。GLIDERはそのうち、経営と事業成長を担うものとして位置づけています」と説明する。

写真1:リコー デジタル戦略部 プロセス・IT・データ統括 副統括長 コーポレートIT統括センター 所長の浜中啓恒氏

●Next:ROIC経営と事業成長を支えるグローバルデータ基盤

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