調査会社のIDCジャパンは9月3日、テレワークに関する調査結果を発表した。2013年には、テレワークを実施する企業は外勤者の場合で65.1%、在宅勤務は47.2%になった。現時点で実施企業がおおむね多数派になった格好だ。
2013年7月時点でテレワークを実施している企業は2年前の2011年7月に比べ、外勤者で30.8%、在宅勤務で20.4%へと、大幅に増加した(図1の「実施していない」から逆算)。背景には事業継続性対策の一環として在宅勤務の取り組みが進んだ、企業間競争やグローバル展開に伴い社員の生産性向上が求められている、実施のためのIT機器が充実している、といったことがある―。
調査会社のIDCジャパンは9月3日、テレワークに関するこんな調査結果を発表した。テレワークとは、「広義のモバイルワーカーの中で通常仕事をするオフィスがありながらも、週8時間(40時間勤務として就業時間の20%)以上を、外出先や自宅で仕事をすること」を指す。
2013年の数字を取り出すと、テレワークを実施する企業は外勤者の場合で65.1%、在宅勤務は47.2%になった。現時点で実施企業がおおむね多数派になった格好だ。調査をまとめた津谷拓夫同社シニアマーケティングスペシャリストによると、「2年前に比べ実施率が大幅に増加しただけではなく、実数も2012年末には1390万人と労働力人口の5分の1を超える」という。
ただし昨今話題になることが多いBYOD(私物端末の利用)とは、話が別のようだ。将来実施動向のグラフ(図2)を見ると、利用したいデバイスの多数派は会社対貸与のスマートフォンやタブレット、ノートpc、シンクライアント端末が占める。従業員所有のBOYDは少数派にすぎない。とはいえ、いわゆる”シャドーIT”の存在を考えると実態は異なる可能性もある。
図3には2017年までの予測値を示した。総労働人口が減少するため、グラフそのものは右肩下がりだが、モバイルワークやテレワークは順調に伸びていくとの予測である。「BCP/DRもあるが、それ以上に従業員の生産性を高める目的が強まっている」(同)。その結果、関連市場は年率6.6%と順調に拡大し、2015年には1兆円を超える見通しである(図4)。
この調査は従業員数10人以上の企業796社分を有効回答として集計したもの。回答者は経営層や人事、IT担当調査など。「今年2月に国土交通省が発表したテレワーク調査とほぼ一致する」(津谷氏)といい、精度は高い。