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東大が描く次代の図書館像、電子書籍で書き込み共有し知の流通を実証実験

2013年10月4日(金)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

東京大学付属図書館は2013年10月3日、研究・教育分野における電子書籍の活用方法を見いだすための実証実験を開始すると発表した。少人数のゼミレベルで使用する専門書籍を電子化したうえで、学生や教師の読書体験や参考情報をネット上で共有可能にすることで、書籍を読み解くという学習方法の価値を再定義したい考えだ。並行して、選者による特集本棚を再現可能にするハイブリッド本棚も実証する。

 一方のハイブリッド本棚は、実際の書店や図書館などでは可能な、書棚を特定の書籍を探す目的なしに見て回る過程で、新たな本と出会う契機(ブラウジング)を確保するための実験だ(写真3)。加えて、図書館員や書店の店員らが特定のテーマに関連する書籍を一カ所に集めるような「特集本棚」を、場所や時間を超えて再現することも視野に入れる。

写真3:ハイブリッド本棚のプロトタイプ

 

 実験では、書評や「東大教師が新入生に勧める本」などにある推薦情報などをよりどころに、そこに取り上げられている書籍や筆者などを関連づけることで、興味の対象に沿いながら、認識していなかった書籍にたどり着ける機会を提供する。関連づけには、特集本棚の再現などに取り組むユニークアイディが持つ技術を使っている。

 東京大学は現在、2019年の完成を予定する「新図書館計画」を推進している。2017年までに、地下40メートルの空間に300万冊を収蔵する新館を建設。その後に現在の本館を外観を保存しながら内部を全面改修する計画だ。そこでは、ITを使ったハイブリッド図書館やアジア研究図書館など5つの目的を掲げ、これからの図書館像に位置付ける「知の森(デジタル・フォレスト)」の実現をスローガンに掲げる。

 今回の実証実験は、ハイブリッド図書館を実現するためのもので、研究分野での電子書籍のあり方に加え、大学図書館が果たすべき役割を再定義したい考えだ。こうした狙いの背景には、理工系で先行する書籍や研究文献の電子化により、学術議論もオンラインが主体になり、研究者ですら大学という物理的な場所に足を運ばなくなってきていることへの危機感もある。

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東大が描く次代の図書館像、電子書籍で書き込み共有し知の流通を実証実験 [ 2/2 ] 東京大学付属図書館は2013年10月3日、研究・教育分野における電子書籍の活用方法を見いだすための実証実験を開始すると発表した。少人数のゼミレベルで使用する専門書籍を電子化したうえで、学生や教師の読書体験や参考情報をネット上で共有可能にすることで、書籍を読み解くという学習方法の価値を再定義したい考えだ。並行して、選者による特集本棚を再現可能にするハイブリッド本棚も実証する。

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