日本HP(ヒューレット・パッカード)は2013年10月4日、Linuxディストリビューションの「Canonical Ubuntu Server」の販売を開始するとともに、スケールアウト型システム構築に向けた新サーバー「HP ProLiant SL2500 Scalable System」を発表した。同社によれば、「ビッグデータの分析用途などに企業ユーザーが、OSS(オープンソース・ソフト)やスケールアウト型環境の導入に動き出している」という。
日本HPの橘一徳サーバー&ネットワーク製品統括本部長は、「日本でのOSSを使ったスケールアウト型のシステム環境や、クラウド・サービス・プロバイダやオンラインゲームなどのエンターテイメント事業者などが先行導入してきた。それが一般企業でも、ビッグデータ分析用途などに導入を検討し始めている。ただ、サポートがないことがネックになることが少なくない。Ubuntuのサポートは低コスト化と含め、企業ユーザーのOSS導入を加速するはずだ」と語る(写真1)。
今後は、「スマートグリッドやBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)」といったエネルギー分野や、FA(ファクトリ・オートメーション)などセンサーデータなど、IoT(Internet of Things)分野の利用も期待できる」(橘本部長)という。
今回、日本HPが販売し、直接サポートするCanonical Ubuntu Serverは、英カノニカルが提供するLinuxディストリビューション。ライセンス費用やサブスクリプション費用が不要でテクニカルサポート料金を支払えば利用できることから、他の商用Linuxディストリビューションに比べ「仮想化環境なしの場合で21%、仮想マシン数無制限の場合は69%安価になる」(日本HPインダストリスタンダード製品企画部の岡野家和氏)。
スケールアウト型システムの構築が容易にするために、セキュリティ・ツールとしての「AppArmor」や、OSデプロイ・ツールの「MaaS(Metal as a Service)」や、サービス・オーケストレーション・ツールの「Juju」を標準搭載する野も特徴だ。
今回、日本HPのコールセンターが窓口になり、Canonical Ubuntu Serverに対する1年または3年間のテクニカルサポートを提供する。そこで解決しない問題は、グローバルなHPのサポートセンターおよびカノニカルのサポートエンジニアにエスカレーションし解決を図る。
HP ProLiant SL2500は、スケールアウト型システムに特化したサーバー。2Uのラックマウント型きょう体である「HP ProLiant t2500 シャーシ」に最大4台のサーバーノード「HP ProLiant SL210t Gen8 Server」を搭載できる。
新たに、最大96%の交流・直流の変換効率を実現する「80 PLUS Titanium」を取得した電源のほか、直流電源での利用にも対応した。省スペース化と同時に省電力化が図れるとする。
英カノニカルのジョン・ザノス クラウドチャネル&アライアンス担当バイスプレジデントによれば、グローバルではビッグデータ用途など「新たな業務を対象に、OSSと最新ハードを使って新しいアーキテクチャのシステムの設計・構築に乗り出す企業が増えている。そこでは、増え続ける消費電力をどう削減するかも大きなテーマになっている。そのため、Canonical UbuntuがサポートするARMプロセサを採用するケースも少なくない」という。
Canonical Ubuntu Serverの価格は、Standard版が7万1400円(1年 標準時間サポート)、Advanced版の12万1800円(1年、24時間×7日サポート)など。SL2500 Scalable Systemは、141万8550円(4ノード構成)から。