イベントの事例セッションをピックアップして、お届けする「事例セッションピックアップ」。今回は、日本マイクロソフトが2013年10月23日に開催した「Microsoft Dynamicsフォーラム 2013」から、JFEスチール IT改革推進部の西村誠司氏による講演をレポートする。同社は、2011年から海外グループ会社向けの標準システム開発をスタート。翌2012年の9月から、タイの新規工場での運用を開始した。
海外プロジェクトグループリーダー
西村 誠司氏
JFEスチールが、海外グループ会社向け標準システムの開発に着手したのは、2011年のことだ。同社の主要製品の1つ、自動車向け鋼板製品は、顧客ごとにオーダーメイドで製造する。例えば、シートやサスペンションでは使用する鋼材が違い、同じ用途でも顧客によって仕様は異なる。もちろん、求められる品質は非常に高い。
これらの製品を、顧客のニーズに合わせ適切なタイミングで供給するためには、自社の製造拠点を顧客の製造拠点に隣接させるのが望ましい。効率という点では日本で集中的に製造する方が良いが、消費地から離れていると、きめこまかな最終調整や、迅速なデリバリーが難しいからだ。
そこでJFEスチールは、製造工程を分けることにした。製銑から精錬、鋳造、圧延までの工程を日本で済ませ、メッキ加工を現地で施す。そのメッキ加工を担う事業会社を世界各地に展開する。
ここで問題になったのが、基幹業務システムである。各事業会社に業務システムを導入する必要があるが、個別に用意するのは効率的ではない。そこで浮上したのが、海外事業会社が共通で使用する「標準システム」の構築だった。
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