ビッグデータを活用して新たな価値を創出しようとする企業は少なくない。しかしビッグデータを利活用するには、データをどう分析するのかを示した「アナリティクス」を検討することが大切だ。どんな分析手法を用いるのか、どのデータを組み合わせて分析するのかといったアプローチなしにビッグデータ活用は成し得ない。
ビッグデータの特性を示す4つの“V”とは
アナリティクスを利用するには、ビッグデータとは何かを理解しておくことも必要だ。ビッグデータは一般的に、以下の3つの“V”特性を持つと言われる。
- Volume:大量のデータが発生、処理される
- Velocity:高速にデータが発生し、処理される
- Variety:構造化データだけでなく、文字、音声、ストリーミングなどの多様なデータが対象となる
しかし大量かつ高速に発生する非構造化データを取得/保管することが重要なわけではない。何かしらの目標を掲げ、それを達成するための手段としてビッグデータを活用することが大切だ。目的なしにデータを蓄積しているだけなら、ストレージの容量ばかり膨らみかねない。
そこで当社は、ビッグデータの特性を示す“3V”に加えて、第4の“V”に注目している。それが「Value(価値)」だ。活用して価値を見い出すデータを、ビッグデータと位置付けることが重要だと考える。
このValue特性に対処するには、任意のソースからデータを取得し、関連するデータから答えを導出するまでの分析工程が重要となる。極端な言い方をすれば、アナリティクスを必要とするデータがValueの特性を備える。ビッグデータの特性を踏まえて活用するなら、アナリティクスとセットで考えなければならない。
ビッグデータとアナリティクスを組み合わせることで、例えば次のようなことが可能となる。
- 障害や問題の根本的な原因(パターン)をほぼリアルタイムに検知することで、コストを大幅に節約できる。
- 数千、数万のSKU(最小管理単位)を分析対象にすることで、利益最大化と在庫を最適化する価格を導き出せる
- 顧客の現在と過去の行動や購買履歴を分析することで、顧客ごとに最適なクーポンを発行できる
ビッグデータを活用するなら、どのような課題を解決するのか、どんなメリットを見込むのかを事前に考えておくことが必要だ。そのためには「Value」を考慮し、どのようにアプローチすれば目的を達成できるのかを描いておかなければならない。