京都市は2014年3月3日、保有する交通情報をオープンデータ化することを発表した。情報公開により、市民生活を便利にするアプリケーションやサービス創出などを見込む。
政府や官公庁が保有する情報を、企業などが再利用しやすい形で公開するオープンデータ。政府主導で進めてきたオープンデータ事業だが、自治体が独自に情報公開に乗り出す動きが広がっている。
京都市もそんな自治体の1つだ。バスや地下鉄の時刻表、バス停の位置情報や駅の構内図、駐車場の位置情報や満車/空車情報、タクシーの走行情報、観光施設情報、緊急避難場所などの公開を検討する。京都市では交通分野におけるICT活用を推進しており、その一環としてオープンデータ化に着手する。
情報をオープンデータ化することで、さまざまなアプリケーションやサービスの登場を期待する。例えばバスや地下鉄の現在地を地図上に表示したり、旅行者に対して観光施設情報をスマートデバイス経由で提供したりするアプリなどの開発が見込める。
京都市は、民間企業や団体が保有する情報のオープンデータ化も促す考えだ。公開情報を拡充し、幅広い用途での活用を見込む。今後は防災情報を公開するほか、オープンデータを公開するシステム基盤の構築やアプリケーション開発にも着手する予定である。
なお、他の自治体も保有情報のオープンデータ化を進めている。福井県鯖江市は“データシティ鯖江”と称してオープンデータ化を推進。統計情報や消火栓、AEDの設置場所、観光情報など24の情報をオープンデータ化し、これらを活用したアプリやサービスも企業などによって50種近く開発されている。
横浜市はデータ公開サイトを開設。約100種のデータを公開し、必要な情報をcsvやtxtなどのファイル形式で取得できる。施設や交通情報のほか、医療や人口統計、防災拠点、帰宅困難者一時滞在施設といった市民が役立つ情報を優先して公開する。静岡県もデータ公開サイトを開設し、気象や防災、観光情報などを公開している。
青森県、福井県、岐阜県、千葉市、会津若松市、名古屋市、福岡市、奈良市、板橋区なども保有情報のオープンデータ化に向けて取り組んでいる。