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「クラウドをまたがる相互運用性をもたらす」

~IBM PureApplication Systemが実現する“クラウドファースト”の意味

2014年3月25日(火)

世界同時発表から2年、垂直統合型マシンとしてIBM PureApplication System を含む PureSystemsの認知度は着実に上がってきた。一方、その根幹にあるメリットについてはあまり知られていない。垂直統合ならぬ、プライベートクラウド・マシンとしての用途である。「クラウドファースト時代をリードできるのがPureApplication Systemだ」と、日本IBMの三戸篤氏(ソフトウェア事業WebSphere事業部長)は言い切る。それは一体、どういうことなのか。三戸氏に詳細を聞く(聞き手はIT Leaders発行人 田口 潤、文中敬称略)。

IBM PureSystems

 

田口:2012年4月12日に「IBM PureSystems」を世界同時発表してから、丸2年が経過します。オラクルExadataと並んで垂直統合マシンのムーブメントを引き起こしましたが、この2年間をどのように評価していますか。

日本アイ・ビー・エム
ソフトウェア事業
WebSphere事業部長
三戸 篤 氏

三戸:垂直統合による時間短縮やシンプルさといった利点には高い評価を頂いています。一方でPureSystems ファミリーの中でPureApplication Systemの大きな特徴であるクラウド基盤という側面は、必ずしも広く認知されていないのかなと思います。垂直統合マシンという面が強調されたことの副作用かも知れません。

田口:今日、お聞きしたかったことの1つがそれです。ここへ来てIBMは“クラウドファースト”を強調し、PureApplication Systemをその基盤と位置づけていますよね?でも2年前の発表時はクラウドのためのマシンというメッセージはなかったですし、1年前も同じだったのではと思います。

「時代がPureApplication Systemに追いついてきた」

三戸:その点を訴求し切れていないのは、我々も反省すべきところです。ただ、言わせて頂ければ、ようやく時代がPureApplication Systemのコンセプトに追いついてきたと考えられます。PureApplication Systemの垂直統合やパターンといった考え方が早すぎたのです。

田口:時代が追いついて来た!? どういうことですか?

三戸:少し説明させて下さい。クラウドの本質的な価値の1つは、使いたい時に使いたいだけシステム資源を使えることにあります。でもこの時、「このアプリケーションを稼働させるにはCPUやメモリーがこれくらい必要である」とか、「運用にはこんな手順やツールが必要だ」とかいったことを考えないといけないとすれば、どうでしょうか。不便ではないでしょうか?

田口:確かにそれだと自由にシステム資源を使えるとは言えませんね。

三戸:そこでPureApplication Systemの「パターン」が生きてくるのです。ハードウェアとミドルウェアを統合したPureApplication Systemの場合、システム資源の割り当てやスケーリング、セキュリティ、高可用性などの設定はパターンによって自動化されていますから、面倒な設定なしに使いたい時に使いたいだけ使えます。

クラウド活用を簡単にするPureApplication System

田口:ちょっと待って下さい。IaaSでは必要なシステム資源を簡単に使うことができますが、それだけだとクラウドとしては不十分という話?

三戸:ええ、不十分です。OSやミドルウェアの設定を、運用まで含めて自動化できれば、システムの調達に要する時間やコスト、そして人的リソースまで含めて効率化できるメリットが生まれる。その点を見据えたのがパターンです。それがなぜ重要なのかと言えば、“クラウドは必要な時にすぐ使える”ことに意義があるからです。そこまでできなければ意味がない。アプリケーションを動かすために、システムを構成したり、ハードウェアリソースの割当を手動で行ったりする必要があるとしたら、旧来のシステム開発と大差ありませんから。

田口:少し違う観点でお聞きしますが、クラウド技術の動向を調べると、「CHEF」や「Puppet」といったシステム構成管理・運用自動化ツールの話が出てきます。それとパターンのアプローチは似ていますね。あるいは「OASIS/TOSCA」のようなPaaSの標準仕様とも。

三戸:そうですね。システムを自動構築するといった目的は同じですし、そうしたクラウドに関わる技術の動きが先ほど「時代が追いついて来た」とお話した理由なのです。クラウドコンピューティングの世界も単純にシステム資源を調達できるところから、面倒な設定や運用管理を自動化する方向に向かっています。そのための標準仕様がOASIS/TOSCAなどですが、PureApplication Systemのパターンはそれをプライベートクラウドの世界でいち早く実現したものなのです。

田口:なるほど、そういうことですか。でもPureApplication SystemのパターンはIBMの独自技術で、オープン技術であるCHEFとも、OASIS/TOSCAとも違う。となるとベンダーロックインの懸念がありますが。

三戸:パターンがIBM独自の技術であることはその通りです。でもロックインの心配は無用です。パターンのレベルでロックインしてしまうことのないよう、顧客自身がパターンを作れるツールを提供していますし、なによりもPureApplication Systemを含むIBM のクラウド戦略の1つにオープン化があります。時代が追いついてきた技術に関しては、PureApplication Systemでもオープンな仕様に準拠する方向性を示しています。

IBM PureSystems
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