今なお多くの企業で稼働しているWindows Server 2003/Windows Server 2003 R2が、いよいよ2015年7月にサポートを終了する。サーバーOSの見直しには基幹システムも関係するため、検証期間やハードウェア選定を考えると、時間はほとんど残されていない。この移行にどう備えるべきなのか――。そこで不可欠となるのがバックアップツールである。主要6社の製品を取り扱うネットワールドは4月、その6社が一堂に会して、それぞれのソリューションのポイントを解説するという貴重なイベントを主催し全国4拠点で実施した。ここでは、4月16日に開催された東京会場の模様をレポートする。
BCP/DRに対応した統合データ保護ソリューション
~IT環境変化に強くクラウド環境への移行も万全~
<講演者>
アクティフィオ ジャパン株式会社
ソリューション アーキテクト
高峰 康 氏
アクティフィオが提供するバックアップソリューションの特徴は、ローカルバックアップ、スナップショット、BCP/DR、ミラーリング、重複除外などの機能をアプライアンス製品のActifio CDSコピーデータストレージに統合し、一元的に提供することにある。同社の高峰康氏は、「1つのデータイメージを開発やテストなど、多目的で使うことができます。しかも、データの書き込みも可能です」と語った。
また、Windows Server 2003からの移行に際して、同アプライアンスを「SIサービスの一環としても活用できます」と提案した。Actifioフィルタドライバを用いてWindows Server 2003ベースで稼働しているサーバーの効率的な差分バックアップを取得。このデータはiSCSI/FC SANストレージとして直接操作することができ、高速な書き戻しにも対応しており、Windows Server 2012 R2の仮想環境への移行も簡単に行えるのだ。
さらに、高峰氏は、新たにソフトウェア版の「Actifio Sky」の提供を開始したことにも言及。「各地に分散している支店などの拠点側にActifio Skyを配置し、データセンター側のActifio CDSに集中的にリモートバックアップを行うなど、クラウドと親和性の高いデータ保護を低コストで実現できます」と語った。
データ移行ツールとしても使えるARCserve活用事例
~最新版Windowsを使うならこれ!移行ツールもご用意しています~
<講演者>
CA Technologies
データ マネジメント事業部 営業統括部
ストラテジックパートナー営業部
中田 皓介 氏
CA Technologiesの中田皓介氏が今回のセッションで力点を置いたのは、ソフトバンク・テクノロジーにおけるファイルサーバーのWindows Server 2012へのデータ移行事例である。
ソフトバンク・テクノロジーでは、業務拡大に伴いファイルサーバー内のデータが3.5TB(600万ファイル)に達し、容量が逼迫していた。そこで空き容量が十分にあるサーバーへ移行することになったのだが、同社にとってファイルサーバーは準基幹システムであり、サービスへの影響を極力抑えることが義務付けられた。「この課題を解決したのが、ARCserve Replicationです」と中田氏は語った。
一般的なOSのコピー機能(Robocopy)では静止点を確保するために、移行作業中はサービスを停止しなければならなかったが、ARCserve Replicationではその必要はない。「移行中に作ったデータは一時保存領域に蓄積され、同期終了後に複製サーバーに反映されます」と中田氏は説明。また、DFSレプリケーションとの比較においても、「メモリー使用量は数十MB程度。画面上で進捗を確認しながら、3日程度で全データを移行できました」と、ARCserve Replicationの優位性を説いた。
Simpanaならできる!! 本当にやりたかったバックアップ運用
~バックアップ時間短縮とデータ統合管理を同時に実現しよう~
<講演者>
CommVault Systems Japan株式会社
テクニカルサービス プリンシパルシステムエンジニア
古山 早苗 氏
Simpanaが持つ新しいバックアップ手法をサーバー移行に活用し、そのまま日常のバックアップ運用にも利用するというのが、CommVault Systems Japanの提案である。では、新しいバックアップ手法とは具体的にいかなるものなのか。同社の古山早苗氏は、次の3つの機能を挙げた。
第1は、IntelliSnapによるハードウェアスナップショットの活用だ。「今あるストレージリソースを有効活用することで、本番環境に負担をかけない高速なバックアップを実現します」と古山氏は語った。
第2は、アーカイブ機能の活用である。「バックアップと同時にファイルを整理し、本当に必要なデータだけをプライマリストレージに移行するのです」と古山氏。これにより、移行データ量を最小化してリストア時間を短縮するとともに、利用頻度の低いデータを安価なストレージに残して運用コストを削減できる。
第3は、クラウド対応である。移行後に取得するバックアップのためにストレージをわざわざ購入するのは非現実的であり、クラウドストレージに必要な期間、必要な容量を確保するのだ。また、「移行後はマルチテナンシーによって、移行対象サーバーの管理者にバックアップ/リストアの権限を委譲することで、運用負荷を軽減することができます」と古山氏は語った。