ERP製品ベンダー(メーカー)が独占してきたパッケージ製品の保守サービス。そこに競争原理を持ち込んだのが欧米で広がる第三者保守である。そのトップベンダーの1社である米リミニストリートの日本法人が2014年10月、「これからのIT投資のあるべき姿を考える」と題したセミナーを開催。「保守サービス料金を半額にする」ことの必然性や留意点を明らかにした。
税制、法改正への対応が5つ目。ERPの保守サポートの中核要素である。永森部長は「リミニストリートは各国で改正の議論が始まった段階から情報を収集します。その対応プロセスおよび成果物は当社のような第三者保守ベンダーにとっては生命線ですので、ERPベンダーの品質を上回るべく力を入れています」と自信を見せた。
6つ目は「グローバルでの確固とした実績」だ。冒頭のセラ・A・ラビン氏の挨拶にもあったように、2014年10月時点でリミニストリートの保守サービスを導入した企業は900社近くを数えるまでに拡大しており、その中にはFortune 100の17社、Fortune 500の90社といった有力企業も含まれている。
7つ目は「日本企業へのサポート体制」。リミニストリートが日本市場で事業を開始してからまだ1年にも満たないが、「製造、公益法人、情報・通信、建設など、すでに9社にサービスを導入していただいています。なお、海外で利用している日系企業を含めれば18社に上ります」と永森氏は語った。

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ここまではいいことづくめだが、何の準備もなしにいきなり保守サポートを切り替えられるわけではない。永森部長は3つの留意点に言及した。1つ目が、「ERPベンダーのサポート資産の利用」である。メーカー保守を打ち切った場合、当然のことながらメーカーが提供するドキュメントやパッチ、プログラムは利用できなくなる。現行バージョンに関する情報やプログラムは、できる限り、事前に入手しておくべきというわけである。
第2は、サポート移管における制限と制約。SAP製品の場合、例えば会計用ユーザー分だけをリミニストリートに保守移管するといった、保守サポートの部分解約はできない。Oracle製品についても、サービスレベルの一致が原則となっており、ライセンスセット(製品と企業の組み合わせ)によって、保守サポートの有無を合わせる必要がある。このようにERPの契約内容やライセンス、保守購入形態は企業によって大きく異なるため、永森氏は「お客様ごとにその内容の整理と分析を行い、最も適した保守移管方法を提案します」と対策を示した。
3つ目の懸念は「サポート移管のタイミング」である。ERPベンダーの保守を打ち切った後にリミニストリートと契約してもサポート移管は困難だ。準備プロジェクトとして最低でも3カ月、できれば並行保守の2カ月を加えた数カ月の余裕を持った計画的なサポート移管を行うことが前提となる。

●Next:日本のユーザーが語る第三者保守の導入メリット
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