IT市場調査会社のIDC Japanは2014年12月15日、2014年第3四半期(7月~9月)の国内サーバー市場動向を発表した。それによると、2014年第3四半期の国内サーバー市場規模は1162億円で、前年同期にあたる2013年第3四半期から11.8%減少し、出荷台数は14万9,000台で前年同期から4.8%の減少となった。
2014年第3四半期の国内サーバー市場を製品別に見ると、x86サーバーの出荷額は前年同期比で2.1%増加し、出荷台数は同4.5%減少となっている。IDCによると、出荷額の増加は平均単価が上昇しているためであり、サーバーベンダーが円安による部材コストの上昇を販売価格へ転嫁したことに加え、仮想化の導入によるメモリーなどオプション類の増加が要因であるとしている。
一方、メインフレームとビジネスサーバーの出荷額は、前年同期から50%を超す大幅な減少となった。メインフレームは、大型の更新案件が2012年~2013年にかけて集中したためで、2014年は更新需要の谷間にあるとIDCでは見ている。また、RISC/IA64プラットフォームのUNIXサーバーに関しては、11四半期連続してマイナス成長となった。
ベンダー別出荷額ではNECが前期に続き首位を維持した。スーパーコンピューターの新機種である「SX-ACE」の大型案件に加え、x86サーバーもプラス成長を確保している。ただし、メインフレームとIA64サーバーは大幅なマイナス成長となったという。2位は、富士通で、x86サーバーの出荷額が前年同期から2桁のプラス成長であったものの、メインフレーム、ビジネスサーバー、RISCサーバーが2桁のマイナス成長となった。3位はHPで、x86サーバーとIA64サーバーの出荷額が2桁のプラス成長となった。
ベンダー別出荷額の4位以下は、日立製作所、IBM、デルの順となった。日立はHPC専用機が出荷されたRISCサーバーを除いてマイナス成長となった。IBMはすべての製品分野でマイナス成長で、デルは情報サービス向けの大口出荷はあったものの、全体ではマイナス成長だったという。
x86サーバー市場は出荷額が847億円、出荷台数が14万7000台。同期は1000台規模の大口案件が数件あったほかは、案件の規模が小さく、出荷台数はマイナス成長に終わった。一方、ユーザー企業が直接ODM(Original Design Manufacturer)メーカーからサーバーを調達するODMダイレクトの出荷台数は、前年同期比で80.2%増加し、x86サーバーの出荷台数の10%を占めるまでになった。2014年は、複数のサービスプロバイダーがクラウドサービスの新規立ち上げや増強を行う発表を行っており、ODMダイレクトの増加はこの動きを反映しているものとIDCではみている。
同市場を担当する、IDC Japan サーバーリサーチマネージャーの林一彦氏は「今期の国内サーバー市場においては、x86サーバーの出荷額はプラス成長を確保したものの、その出荷台数は2期連続してマイナス成長であった。一方、ODMダイレクトは、大幅に出荷台数を増やすなどの動きがあった。今後ユーザー企業におけるIT投資が、クラウドサービスへシフトしていく中で、ベンダーは、各業種に特化したワークロードの最適化やオンプレミスでサーバーを利用するユーザーニーズをくみ上げていくことがますます重要になってくるだろう」と述べている。
同調査結果は、IDC Japanが発行する「国内サーバー市場2014年第3四半期の分析」(J14230304)で詳細が報告されている。