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日本マイクロソフト、個人向けで鍛えたUIを実装したコミュニケーション基盤「Skype for Business」を発表
2015年4月24日(金)魯 玉芳(IT Leaders編集部)
日本マイクロソフトは2015年4月21日、コミュニケーション・プラットフォーム「Skype for Business」を発表した。従来製品「Microsoft Lync」の機能を踏襲しつつ、コンシューマ向け「Skype」の操作体系を全面的に取り入れてリブランドしたもの。同年4月中旬から順次提供する。
スマートデバイスを使いこなす若い世代を中心に、日常生活の中にすっかり定着した感のあるLINEやFacebookなどのコミュニケーションツール。多くの人が使う中で操作性は改善され続け、“人と人とが気軽に、かつ、確実に集える場”として洗練度に磨きがかかっている。誰かに連絡をとろうという場合、電子メールではなく、こうした新しいカジュアルなツールを使うケースは確実に増えている。
その馴染んだ“エクスペリエンス”を仕事でも使いたいと考えるのは自然なことかもしれない。実際、社内のちょっとしたプロジェクトでの情報共有、あるいは取引先との連絡などに、LINEやFacebookでグループを作り、業務に役立てている人も少なくないようだ。
もっともIT部門としては、悩ましい問題もある。現場の人たちが仕事をテキパキと進めるために“よかれ”と思って使っていることに一定の理解は示しつつも、セキュリティをコントロールすることや、会社全体としての業務生産性を高めていくことを考えれば、いつまでもシャドーITを野放しにしておくことはできない。
こうした背景下、日本マイクロソフトが企業向けコミュニケーションツールとして市場投入したのが「Skype for Business」だ。「Skype」と聞くと、ネットを介して通話やチャットをするコンシューマ向けのものと思うかもしれないが、実態は異なる。これまで「Lync」として展開してきた企業向けコミュニケーション基盤をリブランド、ユーザーインタフェース(UI)についてはこれまでSkypeでブラッシュアップしてきた操作体系を全面的に採用したのが「Skype for Business」の位置付けだ。
Lyncで提供してきた機能、具体的には、相手のプレゼンス(在席状況)を確認しながらインスタントメッセージや電話/ボイスメール、音声/ビデオ会議など、その時に最も適切な手段を選んで、「報告・連絡・相談」といったコミュニケーションを図る機能は、そのまま踏襲している。通信の暗号化やユーザー認証などのセキュリティ機能も当然備えている。
これまでコンシューマを中心に展開してきたSkypeでは、PCやスマートデバイスなど端末を持ち替えても、迷うことなく直感的に操作できるように機能やデザインに改良を加え続けてきた。特に、スマートフォンは画面の大きさが限られるだけに、使い勝手を高めるには工夫が欠かせない。世界中のユーザーに鍛え上げられる中で蓄えたUIのノウハウをLyncに投下・統合し、Skype for Businessに仕立て上げた。
ワープロや表計算ソフトなどOffice製品との親和性も高い。例えば、Excelを使っている画面で、プロジェクトメンバーのプレゼンスを確認でき、必要に応じてSkype for Businessで相談を持ちかけるといったことが、ごく自然にできる。ともにマイクロソフトが提供しているので当然の仕様かもしれないが、日常業務でOffice製品を使っている場面は多いので、便利だろう。新機能として、Skype for Business(旧Lync)と個人向けSkypeとの間で基盤を連携した。Skype for Businessを利用している他の企業や、個人的にSkypeを使っているユーザーと必要に応じて接続できる。
セキュリティー要件などビジネス用途を前提に最初から設計しているLyncに、コンシューマ市場で磨いた洗練された使い勝手を統合したSkype for Business。マイクロソフトは、冒頭に挙げたような若い世代が望むクールな体験を、企業のオフィシャルなコミュニケーション基盤に取り込むことでユーザー増を図る。加えて、日本マイクロソフトの執行役 常務 パブリックセンター担当の織田浩義氏(写真)は、「Skype for Businessを導入することで、テレワーク、在宅勤務だけではなく、育児・介護サポートや人材確保、生産革新や災害時の事業継続など、企業の業務改革につながるし、教育現場でも役立てることができる」と強調する。
Skype for Businessは、(1)「Office 365」を構成するサービスとしてのクラウド型での利用、(2)オンプレミス環境に導入しての利用、(3)オンプレミスのSkype for BusinessをOffice 365の他サービスと連携させた形での利用、3つの利用形態から選択できる。価格は、クラウドの場合で、1ユーザー当たり月額220円から。