[外資IT企業との付き合い方]

使っている製品のベンダーが買収された
その時はどうすればいい?

2015年3月16日(月)山本 哲也(FlyData アジア地域担当)

米国の大手IT企業がITベンチャーや相当規模の企業を買収するのは当然。最近では日本のIT企業が海外のIT企業を買収したり、海外のIT企業、例えばインドの企業が日本企業を買収するケースも出てきています。IT業界に限りませんが、M&A(買収/合併)が一般的になってきたと言えるでしょう。筆者も買収される側のIT企業の日本法人に在籍していたことがありますが、リストラはどうかとか、事業の分割があるのかとか、戦々恐々という感じではありました。一方、採用した製品やサービスを提供しているIT企業が買収されたとき、ユーザー企業はどういうスタンスが必要なのでしょうか?今回は買収によって発生する製品戦略、サポートなどを考えてみます。

海外企業にとって買収は当然の経営手段

 日本では今でもM&Aなどを行わず、自社で製品を開発・販売したり、事業を多角化したりして成長する企業が多数派でしょう。これをオーガニック・グロース(自然な成長)と表現します。自社の技術やビジネスモデルを大切に育てていく、あるいは製品を育てていくわけです。まったく別の企業のエンジニアがプログラムした意図を読み取り、自社の製品に組み込むよりは、自分たちの技術を発展させたほうが時間的に早いし、製品の品質も安定することもあろうかと思います。

 しかし顧客の数や市場の大きさ、市場の成長スピードには限界があるので、どんな製品やサービスであっても成長が鈍る時がきます。またいずれは自社の製品やサービスに組み込みたいが、ゼロから開発していると時間がかかる場合があります。競合他社の存在を考えた時、このような時間の遅れは致命的になりかねません。そんな中で一層の成長を市場や株主から求められた場合、買収という方法で成長を継続させる方向に向かうのもまた、自然なことです。

 実際、海外企業、特に米国企業は、成長を厳しく求められます。ですからM&Aが重要な経営の手段になるのは当然です。買収によって得られるものは、大きく市場と技術力(スピード)です。例えば参入できていない市場で、早期に売り上げと顧客、ブランド力を得ることができます。決算上で目に見えて売り上げが立つわけですから、成長しているとか、新しい市場に積極的に参入しているといった評価も得られます。このほか将来の競合になる可能性のある企業を未然に摘んでしまう買収や、競合他社に買われるくらいなら自社が買ってしまえという買収もあります。

大手は買収を進めるためのパターンを持つ

 企業買収は当然のことながら、秘匿性が極めて高い行為です。事前に買収内容が漏れることはまずあり得ません。上場企業の情報はインサイダー取り引きとなるのでなおさらです。そうはいっても噂が立つものですが、その頃には買収価格や内容はほぼ固まっているのが通例です。

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