日立ソリューションズは2015年9月2日、グローバル製造業を対象に、製造現場から経営マネジメントまでの情報をリアルタイムにつなぐ「グローバル製造業向けトータルソリューション」を同年9月7日から提供すると発表した。同社やパートナー企業が持つ関連システムなどを体系化したもので、市場や経営の環境変化に迅速に対応できる仕組みを構築する。
「グローバル製造業向けトータルソリューション」は、製造業を取り巻く環境の変化を踏まえ、日立ソリューションズなどが持つノウハウと関連システムを整理し体系化したもの。M2M(Machine to Machine)やBI(Business Intelligence)、ビッグデータなどの仕組みを採り入れ、関連システムを有機的に連携させることで、新しい価値やビジネスモデルの創出を支援するという。
具体的には、本社と連携した海外拠点での迅速な経営判断、グローバルな需要変動を加味したコスト戦略策定による機動的経営、海外拠点での保守サポート品質向上などである。直近の課題を解決するシステムから、製造現場の人や機器、システムが協調する自律分散システムまで、課題の優先度に応じて種々の製品の中から適切なものを選択し提案する。
主な構成ソリューションには、「経営マネジメント」「グローバルPLM(Product Lifecycle Management)」「グローバルSCM(Supply Chain Management)」「グローバルSLM(Service Lifecycle Management)」「製造現場見える化」の5つがある。それぞれで使用する主な製品を表1に示す。
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経営マネジメントでは、生産拠点や販売拠点のデータを収集・分析することで、製品別の利益構造を可視化する。市場データを加えた経営計画のシミュレーションにより、需要変動などの環境変化に対応した意思決定を支援する。
グローバルPLMでは、顧客のニーズに合わせた多品種多量生産(マスカスタマイゼーション)に対応した計画的な利益の確保を可能にする。そのために、機能設計や原価企画のPDCAを強化し、設計の精度を高める。サプライヤーや海外拠点などとの企業間コミュニケーション基盤を構築し、仕様書や図面などの設計情報を共有する。情報のやり取りは時系列に見える化することで、管理コストの低減と迅速な意思決定を支援する。
グローバルSCMでは、グローバル展開するサプライチェーンの規模に応じて「2層ERP」といった仕組みを適用することで、生産・販売業務の標準化を図る。2層ERPは、独SAP製や米Oracle製のERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアを中核に、事業や拠点単位で、ニーズに合ったERPを選定・導入し、データ連携を図る方式だ。本社側での見える化を実現することで、生産・販売体制の機動的な変更も可能にする。
グローバルSLMでは、アフターマーケットでの高収益化を支援する。フィールドサービス、製品や部品の在庫管理など、情報の見える化により、適正かつ正確なリソース管理や、アフターサービスのグローバルでの品質向上と均一化、効率の向上を図る。
製造現場見える化では、工場生産業務最適化やグローバルサプライチェーン最適化を支援する。海外にある生産拠点を含め生産現場で発生する製造装置ログや製造実績等のデータを収集し、モノや作業の流れに合わせた因果関係を含めて蓄積し可視化する。
グローバル製造業向けトータルソリューションの提供に向け日立ソリューションズは、社内に組織横断チームを設置した。市場動向や顧客の課題、最新事例の情報を定期的に共有することで、顧客ニーズにあった最適な提案を目指す。今後は、欧米や中国、東南アジアにある海外拠点および日立グループ各社、国内外のパートナー企業と連携しながら同ソリューションを推進する。2018年度に300億円の売り上げを目指す。