[市場動向]

知っておくべき人材マネジメントSaaS「Workday」の実像[サービス編]

2015年10月14日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

「人事管理は人事部門の専権事項であり、IT部門は関与していない」「競争力とは無関係なシステムなのでアウトソーシングを検討している」──。人事管理システムに対し、こんな認識や関与の度合いであれば、CIOやIT部門は改めるべきだろう。競争力に直結する“攻めのIT”という位置付けになろうとしているからである。

 日本企業ではソニー、日産自動車、日立製作所、ファーストリテイリング。米国企業ではBank of America、IBM、Coca-cola、HP、Netflixなど。これら名だたるグローバル企業には共通点がある。世界各国の拠点を網羅するグローバルな人的資産を管理するために「Workday」というクラウドサービス(SaaS:Software as a Service)を採用している点だ。

図1:SaaS(Software as a Service)のオンプレミスに対する優位図1:SaaS(Software as a Service)のオンプレミスに対する優位
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 同サービスを提供する米Workdayは2005年の設立。ベンチャーに近い社歴だが、米Oracleや独SAPのようなIT大手がひしめく人事管理分野で、過去3年に限っても年率65%で高成長を続けている。

 日本にも2013年に事業拠点を開設し、2015年1月に本格化な営業活動を開始した。SaaSのフロントランナーである米Salesforce.comに最も近いとされる注目企業の1社である。メッセージもSalesforce.comに似ている(図1)。

 そのWorkdayが2015年9月末に米ラスベガスで開催した年次ユーザーカンファレンス「Workday Rising 2015」には、合計5000人が参加した。顧客企業から3200人弱、利用を検討中の企業から420人強、パートナー企業から950人近く、そしてWorkdayの社員が620人という内訳である。1日だけの参加でも395ドル、フルに参加するには1795ドルと有料であり、しかも人事と財務という限られたソリューションにも関わらずだ。

図2:Workdayの顧客数の推移図2:Workdayの顧客数の推移
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 一体、Workdayの何がグローバル企業を惹き付けるのか? そもそも注目に値するソリューションなのか? 結論から言えば人事管理という言葉とは裏腹に魅力があるし、冒頭のグローバル企業をアーリーアダプターとして多くの企業に採用が広がる可能性もある(図2)。

 同社サービスを実際に利用するかはともかく、本誌読者には知っておいて欲しいと思う。そこで同社が9月末に開催したユーザーカンファレンス「Workday Rising 2015」での発表内容を含め、Workdayの実像を紹介しよう。

 なおWorkdayはSaaSだけに、年2回(3月と9月)、バージョンアップされるのが通例になっている。Workday Rising 2015の初日には、「Workday25」のリリースが発表された。25回目のメジャーバージョンアップという意味である。

HRMとFinancialの組み合わせが人的資産管理と事業遂行に直結する

 Workdayは現在、主力の人事管理ソリューション「HCM(Human Capital Management)」に加えて、Workday3から提供を開始した財務/管理会計のソリューションである「FM(Financial Management)」と、2014年から順次、機能を拡充してきた大学向けの学生管理ソリューション「Student」を提供している。

 一見、脈絡がないように思えるが、従業員一人ひとりが、どれだけの売り上げに関わり、経費がいくらかかっているのかを把握・分析することは、今日の企業には必須という。「多くの業種でビジネスのサービス化が進み、人に依存する部分、そして人材投資が大きくなる。人事管理と財務管理を統合することは欠かせない」(WorkdayのBetsy Bland副社長)。

 学生が何を学び、成績を管理するStudentも同様である。例えばStudentでは、企業に応募する際の履歴書を作ることができ、HCMの採用機能情報を連携できる。「人事管理は入社前から始まっている」との考えがあるようだ。FMにしろStudentにしろ、人事管理を起点に周辺ソリューションを充実させるアプローチである。

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