NECが、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)向け製品の強化策を打ち出した。同社は2015年6月に製造業向けに、7月に「水需要予測」や「電力需要予測」「画像・重量検品」など各業種・業態向けにIoTソリューションを発表してきた。同年11月10日、今度はそのIoTソリューションを支えるハードウェアの新製品発表を行った。加えてIoT関連製品の開発体制を、2016年度に1000名体制に増強することも発表している。
NECは2015年7月に、デバイスコンピューティング/近距離ネットワーク/エッジコンピューティング/遠距離ネットワーク/クラウドコンピューティングから成る5層モデルを、同社のIoTシステム構成モデルとして提唱している。デバイスやセンサーからの膨大なデータを、すべてクラウドで処理するのではなく、一度エッジコンピューターで処理することによりクラウド側の負担を減らす、「分散強調型処理」という考え方だ。今回の発表では、エッジコンピューティングを中核とした技術開発を進めていくことを明確にしている。
また、製品強化の第一弾として、IoTにおける大量のデータ処理に対応するためのハードウェア2製品を発売した。
「DX2000」(写真1)は、1ラックあたり572台のサーバーが収容可能な高集積サーバー。インメモリ分散処理を視野に入れた設計が成されており、分散処理ミドルウェア「Hadoop」と組み合わせることで、従来数時間を要した分析が数秒から数分で処理できるようになるとしている。価格は1150万円から。
もう一つの新製品である「ExpEther 40G」は、離れた場所にあるCPUやGPU、ハードディスクなどをEthernetで接続する製品だ。ExpEtherボード(写真2)とI/O拡張ユニットで構成されており、複数のサーバーの拡張スロットにExpEtherボードを挿入しEtherネットで接続することで、1つのコンピューターリソースとして利用できるようになる。I/O拡張ユニットにGPUやSSDといったPCI Express準拠の周辺装置を挿入すれば、データ量に応じた柔軟なI/O拡張が行える。価格は55万円から。
また、クラウド上の仮想環境からデバイスの周辺機器を操作できるようにするクラウドサービス「Collaboration Assistant」は、2016年度中に発売する予定だ。デバイスで収集したデータを、リアルタイムにクラウドに上げることができるため、例えば現場の作業員と遠隔地にいる熟練技術者がリアルタイムで情報を共有し、作業品質の向上に結び付けることができる。
NECは2015年7月の段階で、IoT事業向けのSE要員を2020年度までに現在の約100名から500名まで増強することを発表している。今回、IoTシステムのハードウェア開発技術者を育成していき、グループ会社を含み現在約300名いる技術者を2016年度に1000名体制にまで増強する計画を明らかにした。同社のIoT関連売上の目標は、2020年に3000億円。