トヨタ自動車は2016年1月4日、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)時代の到来を踏まえて、「つながる」技術の開発を加速していくことを発表した。車両データの送信を行うDCM(Data Communication Module)の搭載率の向上や、これに伴う大量データ処理を行うためのITインフラの強化、車載システムに実装する標準ミドルウェアの開発などを行っていく。
トヨタはまず、2017年以降に米国で発売する新モデルについてDCM搭載率を向上させる。米国以外については、順次対象地域を拡大していく予定だ。DCMの搭載率を向上させることで、より高い精度のデータを製品開発やアフターサービスに活用できるようになる。DCM搭載車両については、エアバッグと連動した緊急通報システムを標準設定するとしている。
DCM搭載車が増えることでデータ収集量が増加し、膨大なデータの処理が必要となるため、ITインフラを拡張する。現行のトヨタ・スマート・センター内に「トヨタ・ビッグデータ・センター(TBDC)」を構築、DCMから収集されるデータの解析、活用、各種サービスへの展開を行う。
併せて、国、地域で仕様の異なるDCMを、2019年までにグローバルで共通化する。そのため、トヨタ・スマート・センターにDCM通信をグローバルに集約管理する機能を付加する。
また、車載システム向けのコネクテッドソリューションに開発実績を持つベンチャー企業のUIEvoiution,Inc.と共同で、車載システムに実装する標準ミドルウェアを開発する。スマートフォンと車載システムをセキュアに連携するためのミドルウェアで、スマートフォンからセキュアな環境下で、TBDCを介して車両データにアクセスできるようになる。
UIEは、車両データを活用するスマートフォンアプリの開発が可能になるほか、そのアプリをトヨタが認証したサービス・アプリのサードパーティに提供できるようになる。同社に対しては、トヨタが出資する未来創生ファンドを介して、2015年末に500万ドルを出資している。