IDC Japanによると、国内ICT市場の2014年から2019年にかけての成長率が0.1%のマイナスであるのに対し、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場は年間12%平均で伸びていくという。市場規模はICT全体の25兆円に対して、その64%に当たる16兆円まで拡大すると予測している。その成長市場でのビジネスを推進するため日本マイクロソフトは、パートナー9社とともに「IoTビジネス共創ラボ」を発足させた。Microsoft AzureをベースにしたIoTソリューションの開発を進めていくための組織だ。
IoTビジネス共創ラボは、マイクロソフトのクラウドプラットフォームであるMicrosoft AzureをベースにしたIoTプロジェクトの開発や共同検証を行うための組織。共同検証については、ビジネス・ワーキンググループ(WG)、分析WGのほか、業界別の製造WG、物流・社会インフラWG、ヘルスケアWGという5つのワーキンググループで行っていく。
2016年2月9日の活動開始時点での参加企業は、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、東京エレクトロン デバイス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスに日本マイクロソフトを加えた全10社。このうち、日本マイクロソフトが事務局を、東京エレクトロン デバイスが幹事会社を務める。
米マイクロソフトは2015年3月、IoT向けのクラウドプラットフォームであるAzure IoT Suiteを発表している。遠隔監視や予兆保全、資産管理などの目的で利用するための機能を構成済ソリューションとして準備しており、OSもWindowsだけでなくAndroid、iOS、Linuxに対応したマルチデバイス対応の環境が用意されている(図)。
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ラボは、この最小限での導入が可能なAzure IoT Suiteを使って共同検証を進めていく。東京エレクトロン デバイスでIoTカンパニーのプレジデントを務める八幡浩司氏は「組込みOSもカバーし、デバイスからエッジ、クラウドまで幅広く対応サービスを持つMicrosoft Azureが、数あるIoTプラットフォームの中で最適と判断した」としており、同様の趣向を持つ8社が発足企業として名乗りを上げている。
マイクロソフトでは、パートナープログラム「Azure Certified for IoTプログラム」を、まずはIoTデバイスを提供する「デバイスパートナー」に対して適用している。様々なIoTデバイスと組み合わせてソリューションを構築できる「クラウドパートナー」もある。
デバイスパートナーは、デバイスがAzure IoT Suiteや、デバイスから収集されるデータのHubとなるAzure IoT Hubで利用できることを認証するものだ。ユーザーは、Azure IoT Suiteで利用するIoTデバイスを、認証済リストから選択することが可能になる。
日本でも、複数のパートナーがデバイスパートナーおよびクラウドパートナーとしての認証取得に向けて申請を行っているという。ビジネス共創ラボとして、1年以内に100社のパートナー獲得を目指している。
また日本マイクロソフトは、IoT技術者の育成にも乗り出す。IoTデバイスのアプリ開発やビッグデータ関連技術などについて、オンラインあるいはハンズオンの無料トレーニングを提供していく。1年以内に合計1万人の技術者を育成したい考えだ。