近年の主要ITベンダーが発するメッセージは、デジタルビジネスに関するものが多い。先ごろ来日した米ヴイエムウェアCEO(最高経営責任者)のパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏は、同社が提供するクラウド関連の技術・製品群がどのように「マルチクラウドなITインフラ」を実現して顧客企業のデジタルビジネス転換を促すのかを説明した。
「Uberが交通のあり方を変え、Airbnbがホテル産業を変えるなど、さまざまな業界がこうした変化の影響を受けている」――クラウドやモバイルを高度に活用した画期的なサービスが市場の勢力地図をあっという間に塗り替えていく破壊的イノベーションのインパクトを、ヴイエムウェアを率いるパット・ゲルシンガー氏(写真1)も口にした。「この新興勢力により、ITのビジネスに対する重要性が増し、CIOの役割がこれまでにないほど重要かつ困難になっている」
写真1:米ヴイエムウェアCEO(最高経営責任者)のパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏一方で、メインフレームやミニコンピュータの時代から、長年ITを活用している企業ではどうか。「それぞれにプロプライエタリなツールが用意されており、運用やセキュリティの基準もバラバラ。データセンター内があたかもIT博物館のようになっている」とゲルシンガー氏は表した。
また、顧客企業の中には、システムのクラウド化を進めることでこうした過去のプロプライエタリ環境を再度作り上げてしまうのではないかと恐れる企業もいるという。同氏は、「マルチクラウド時代に同じ過ちを起こしてはいけない」として、クラウドのリソースをうまく活用しながら、プロプライエタリな環境にロックされないように留意するべきだと警告している。
「マルチクラウド時代のITインフラ」実現への3ステップ
現在のヴイエムウェアは、管理、ネットワーク、セキュリティのそれぞれをクラウド間で統合したITの制御プレーンを用意している。これにより、「自社のプライベートクラウドから事業者に管理を委ねるマネージドクラウド、そしてパブリッククラウドまで、さまざまなタイプのクラウドをサイロ化させることなく活用可能になる」(同氏)というのが同社の戦略になる(画面1)。
画面1:ヴイエムウェアのクラウド戦略(出典:ヴイエムウェア)拡大画像表示
マルチクラウドへの対応にあたって企業のIT部門はどのようなITインフラを整えればよいのか。ヴイエムウェアは次に示す3つのステップを示している。
第1ステップは、SDDC(Software Defined Data Center:ソフトウェア定義型データセンター)に基づくデータセンター/マシンルームの変革だ。構築・運用の自動化や標準化技術によって、顧客の現在のプライベートクラウドを効率化するのが同社のここでの役割だ。
第2ステップは、そうして自動化・標準化が進んだプライベートクラウド環境の使い勝手をパブリッククラウドにまで拡張すること。ここで同社は、パブリッククラウドサービス「vCloud Air」やパートナーネットワークプログラム「vCloud Air Network」を提供する。
そして第3ステップがゴールである。接続性やセキュリティレベルを高め、完全なマルチクラウド、マルチデバイス環境を実現することだ。ヴイエムウェアは、ネットワーク仮想化プラットフォーム「NSX」、クラウド管理プラットフォーム「vRealize」、モビリティ管理製品「AirWatch」が達成を支援するとしている。
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