富士通は、クラウドストレージベンダーのBoxとコンテンツマネジメント分野で協業すると発表した。Boxのコンテンツマネジメントプラットフォームを従業員16万人の社内コミュニケーション基盤として採用するとともに、富士通の日本国内のデータセンターからのBoxの提供や、Boxと連係したソリューションの共同開発を推し進める。
すでに国内で1000社が利用するBoxのクラウドストレージ
富士通とBoxは2016年6月8日、コンテンツマネジメント分野における戦略的なパートナーシップに関するMOUを締結したと発表した。パートナーシップのもと、富士通は、従業員16万人の社内コミュニケーション基盤としてBoxのコンテンツマネジメントプラットフォームを採用し、2016年10月以降から運用を開始する。
また、富士通のデジタルビジネスプラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」の一部として、富士通の日本国内データセンターからのBoxの提供や、Boxを組み合わせたソリューションの共同開発などを推し進めていく。
Boxのクラウドストレージは、企業内コンテンツをクラウド上に一元管理し、さまざまなサービスからアクセス可能にするものだ。自社開発システムをはじめ、SharePointなどの社内ポータル、Office 365やGoogle Appsなどのグループウェア、NetSuiteやSAPなどのERP、OracleやセールスフォースなどのCRM、その他サードパーティの製品やカスタムアプリなどに対応している。デバイスも選ばず、社内の人間だけでなく社外の人間とも共有できる。
Boxは2年前に日本語化を完了し、国内ですでに約1000社が利用しているという。第一三共や塩野義製薬、資生堂やLIXILをはじめとする大手企業も全社一括導入を開始している。
狙いはコスト削減、情報漏洩対策、生産力向上
発表会に登壇した富士通の執行役員常務、グローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏はBox採用の狙いとして下記の3つを挙げた。
(1)Boxを利用したコンテンツの一元管理
阪井氏によると、同社のファイルストレージの80%は、ローカル保存やストレージ保存、文書管理サービス、メール添付などによって発生する重複ファイルが占めている。メールへのファイル添付を禁止し、全員が同じファイルを参照・編集することで、それらの重複を排除でき、ストレージの増設費用、維持コストを大幅に削減できる。
(2)セキュリティ・情報漏洩対策の強化
東京商工リサーチが行った「上場企業の個人情報漏洩紛失事故」調査(2015年5月)によると、情報漏洩の原因1位は「紛失・誤廃棄(45・8%)」、2位が「誤送信・誤表示(20.5%)」となっている。Boxを利用することで、個人のデータ保管の抑制や利用者への適正なアクセスコントロールが可能となり、PC紛失時や誤送信によるデータ損失を抑制できる。
(3)生産力の向上/コラボレーションの強化
文書の共同編集やデバイスに依存しないコラボレーションにより、資料作成やコンテンツ管理における生産性向上が期待できる。阪井氏は、Boxの導入で10~20%の生産性向上を見込んでいるという。
富士通とBoxは、今回の日本市場での協業をベースに共同でビジネスの拡大を図り、将来的にはアジア地域をはじめとするグローバル展開も視野に入れている。