米Red Hatは2016年8月31日(現地時間)、スケーラブルでオープンなIaaS(Infrastructure as a Service)基盤「Red Hat OpenStack Platform 9」の提供を発表した。高度なアップデート機能、システム・統合管理能力を提供し、堅牢で実稼働可能なOpenStack環境の構築を支援する。
「Red Hat OpenStack Platform 9」は、プライベートクラウド、パブリッククラウド、NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能仮想化)環境をデプロイ、スケール調整・管理できる。
OpenStackコミュニティの「Mitaka」のリリースに基づき、「Red Hat Enterprise Linux 7.2」「Red Hat Ceph Storage 2」「Red Hat CloudForms」と統合した、ハイブリッドクラウド管理・監視用のクラウド基盤を提供する。
OpenStack環境で、サービス機能性・サードパーティドライバーへの対応・システムの性能と、セキュリティの確保を提供するため、Red Hat Enterprise Linuxをベースに構築している。自動化したアップグレード・アップデートのパスを提供するOpenStackディストリビューションで、MitakaバージョンからのアップデートをOpenStackサービスに提供する。
自動アップデートおよびアップグレードについては、アップストリームコミュニティプロジェクトの「TripleO(OpenStack on OpenStack)」に基づき、ユーザーがOpenStackデプロイメントを「Red Hat OpenStack Platform Director」の自動化および妥当性確認メカニズムを通じてアップグレードできるようにする。同ツールは、最新のOpenStackの機能を活用するための簡潔な方法を提供する一方で、実稼働環境でのダウンタイム回避を支援する。
ライブマイグレーションを改善しているほか、「OpenStack Compute(Nova)」からの選択が可能なCPUピニングを採用した。システム管理者がマイグレーションの進捗を観察して、作業を一時停止・再開できるようになった。そのために、強化したライブマイグレーションプロセスのインスタンスを提供する。新しいCPUピニング機能は、NFVのようなレイテンシーの影響を受けやすいワークロードに合わせて動的にハイパーバイザーの挙動を変更できるため、きめ細かい性能制御が可能になる。
「OpenStack Block Storage(Cinder)」での、Google Cloud Storageバックアップドライバーのテクニカルプレビューを提供する。ディザスターリカバリーポリシーを、Google Cloud Storage用に作成された統合ドライバーを使用するパブリッククラウドへ拡張できる。この機能により、ハイブリッドクラウド全体にわたってクリティカルデータの安全なバックアップが可能になる。
OpenStackプライベートクラウドの構築に関しては、サービスデリバリーの迅速化を支援し、セルフサービスを可能にする。そのために、Red Hat CloudFormsと接続して、自動化したクラウドデプロイメント環境を提供する。Red Hat CloudFormsは、Red Hat OpenStack Platformサブスクリプションに含まれており、OpenStackインフラストラクチャーコンポーネントに対するポリシーベースの運用およびライフサイクル管理、OpenStackでの仮想化されたワークロードの実行を可能にする。
最新のRed Hat OpenStack Platform Directorでは、Red Hat Ceph Storageもデプロイできる。