非IT企業のIoTプラットフォームといえば、米General Electric(GE)の「Predix」が思い起こされるが、日本からも2016年12月に登場する予定だ。それが、ファナックの「FIELD system(フィールド・システム)。2016年8月29日に都内で開催されたファナックのパートナーカンファレンスには、200社・500名以上の来場者が集った。産業用機器・ロボットのリーダー企業であるファナックが、IoTプラットフォーマーとして産業界にどのような影響を及ぼしていくのか、注目されるところだ。
製造現場にAIを提供
ファナックが提供を予定しているフィールド・システムは、製造現場にAI(人工知能)を提供するためのプラットフォームだ。AIに加え、エッジコンピューティングやコネクテッド(つなぐ)技術により製造現場の最適化を実現する。「エッジ・ヘビー」という考え方に基づいて考案されたもので、シスコシステムズ、ロックウェル・オートメーション、プリファード・ネットワークスという3社が開発に協力している。
シスコは、同社が掲げるIoTの仕組みである「フォグ・コンピューティング」のアーキテクチャーを、ロックウェルはロボットや制御装置の管理システムを、プリファードは特許を持つ製造業向けAIの技術をそれぞれ提供し、フィールド・システムを作り上げた。遅れてNTTグループが、ネットワークインテグレーション、アプリケーション開発の分野で協業している。
そのフィールド・システム、産業機器や産業ロボットからの様々なデータを、工場の近くに設けられたエッジ・コンピューターで処理・分析する。共有する必要のある情報のみをクラウドに送るため、分析結果がリアルタイムに近い形で得られるうえ、ネットワークの負荷やセキュリティリスクを最小限に抑えられる(図1)。
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これで実現できる成果のひとつが、ファナックが以前より取り組んできた「ZDT(セロダウンタイム)」だ。各種データの分析結果から故障の兆候をいち早く察知し、危険な部位を交換することで製造ラインの停止を回避する。それだけでなく、機械学習による稼働効率の向上など、工場の全体最適化が期待できる。
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