ワークスタイル変革は、ICTの進展と共に長年叫ばれてきた言葉だが、組織全体でしっかり実践し、顕著な成果を上げている企業は思いの外少ない。生産性を高め、イノベーションを生み出す真のワークスタイル変革を実現するためには何が必要なのか。PwCコンサルティングでワークスタイル変革のコンサルティングに携わる井手健一氏に話を聞いた。

ワークスタイル変革の「具体的なゴール」を描く

 井手氏は、ワークスタイル変革に取り組むにあたって目指すゴールは大きく3カテゴリに分けられるとして次を挙げる。

  1. 生産性向上:自分たちの時間あたりの生産性を上げる
  2. コラボレーション向上によるイノベーションの実現:イノベーションを起こし、新規事業を実現することによって企業成長を目指す
  3. 従業員満足度向上/ダイバーシティ推進:残業時間の削減や女性社員の登用などによる人材活用と社員の満足度向上
図1:働き方改善の目的と施策例一覧(出典:PwCコンサルティング)

 中小企業は1.を重視する企業が多い。今ある目の前の人材不足を、1人当たりの生産性を上げることで乗り越えていきたいという考え方だ。また、2020年の東京オリンピックに向けて業務量が増えていくが、その後頭打ちになることが予想されるようなケースでは、現在の人手不足を生産性向上で乗り切りたいという意識が強い。

 一方で、大企業は中小企業の場合と異なり、新卒採用や若手人材の登用などにおいてダイバーシティ経営を目指している例が多いという。