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[イベントレポート]

社内SNS活用に挑んだデンソーが実践から学んだナレッジ共有のポイントとは?

基調講演レポート【IT Leaders Forum 競争戦略としてのワークスタイル革新】

2016年12月15日(木)阿部 欽一(キットフック代表)

2016年11月29日、インプレスは「IT Leaders Forum 競争戦略としてのワークスタイル革新」セミナーを都内で開催した。当日は、注目すべきユーザー事例のほか、Sansan、ワークスモバイルジャパン、Box Japanの最新ソリューションを詳説するセッションが設けられた。基調講演の壇上に立ったのは、デンソー 技術開発センターDP-EDA改革室 室長の鈴木万治氏。同氏は、『デンソーが挑む企業SNSによる「真の総智総力」の実現~やってみてわかったことと、これからの展望~』と題して、企業コラボレーション実現に必要な“デンソー流”社内SNS活用のポイントについて語った。

IT活用の目的は「自動化による効率化」から「人を中心とした価値創造」へ

写真1:デンソー 技術開発センターDP-EDA改革室 室長 鈴木万治氏

 クラウドやモバイルの普及によって、個人の生産性は大きく向上した。しかし、組織の仕事の進め方は、従来からのピラミッド型組織の弊害や限界が相変わらず指摘されており、システムやツールの導入だけで課題が解決できないことを多くが実感していることだろう。

 企業にとって、さらなる競争力向上や新たな価値を創出していくために、社内の多部署、多拠点に分散するナレッジや能力を共有し、活用していくことが大きな課題となっている。

 鈴木万治氏(写真1)は、自動車部品の総合メーカーであるデンソーにおいて、宇宙関連の研究開発にはじまり、ハードウェア開発、ソフトウェア開発などを歴任。それに続いて、次世代の電気系設計環境を2年間で構築、かつグローバル展開するプロジェクトを推進することとなった。その時に社内SNSの活用にチャレンジし、その経験から“実効性”に結び付けるための多くの知見を得たという。

 なぜ、社内コラボレーションの仕組みとしてSNSを活用しようと着想したのか──。鈴木氏が個人的にFacebookを使い始めたのは2011年のこと。当初はプライベートの情報を投稿していたが、利用を続けるうちに、Facebookを通じて普段会えない人とも交流できたり、趣味のライブ鑑賞が高じてギター演奏を学んだりと活動の幅が大きく広がった。その経験を通し、「SNSは人との距離を縮め、様々な考え方や視点を獲得できるツールである」との確信を得た。

 そのポテンシャルをビジネスに活かさない手はない。鈴木氏は、社内にデータが溜まるだけで、うまく活用できていない課題を解決するため、ITを「自動化による効率化」から「人を中心とした価値創造」へ活用するべく、ナレッジマネジメントの仕組みをIBMに相談することにしたのだ。

欧米事例にならうのではなく日本流のSNS活用を

 もともとデンソーはNotesユーザーでありIBMとは縁があった。IBMからはダイムラーやボッシュといった自動車業界でのビジネスSNSの活用事例を紹介され、プラットフォームとしてエンタープライズ・ソーシャルウェア「IBM Connections」の導入を決定する。IBM Connectionsは企業ソーシャルに必要な機能をワンパッケージで装備、Facebookをそのまま企業で利用できるようにしたイメージの操作体系が特徴だ。

 しかし、ツールの実際の利用に際しては、いくつかの考慮すべきポイントがあると鈴木氏は指摘する。「自由にメッセージを書き込めるといったところで、日本ではリードオンリーを決め込む人が大半。自分の意見を述べる人はごくわずかで、サイレントマジョリティが圧倒的に多い」というのが、これまでのSNS利用経験での実感。とはいえ、「書いてあることは細かく読まれている傾向があり、例えば発言した人の得意分野や実績といった付帯情報が予想以上に行き渡っている」という感触をつかむことができた。

 一連の取り組みを通して学んだのは、欧米の事例にならって、トップダウンで短期間にナレッジ共有の効果を得ようとするのは難しいということ。そこで鈴木氏が提唱するのが、“日本流”のSNS活用だ。すなわち、組織力を縦軸に、SNSを横軸に組み合わせ、「社員の顔が見えるコミュニケーション」を補完することにSNSの主眼を置くというものだ。具体的にはSNSの役割を、「人材の育成、発掘」「活躍の場の提供」とし、社員に対しては、ライブ会場のような“場”の提供という、柔らかなインセンティブ付与を心がけることにした(図1)。

図1:日本企業の企業SNS活用イメージ「柔らかいインセンティブ」(出典:鈴木氏のプレゼン資料より)
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