2017年1月の3本:日本マイクロソフトが「SAP HANA on Azure」を提供開始/ERPの定型業務をロボットで自動化するサービスをPwCコンサルティングが開始/IPAが「情報セキュリティ10大脅威2017」を発表
2017年2月7日(火)松岡 功(ジャーナリスト)
2017年1月のニュースから松岡功が選んだのは、「日本マイクロソフトがSAP HANA on Azureを提供開始」「ERPの定型業務をロボットで自動化するサービスをPwCコンサルティングが開始」「IPAが情報セキュリティ10大脅威2017を発表」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
[選定理由]
ERPなど業務アプリケーションの定型作業をRPAによって自動化する動きが活発化してくると感じたからだ。
RPAとは、従来オフィスワーカーがPCでやっていたルーチンワークを、ソフトウェアのロボットに代行させて自動化する技術や仕組みである。数年前から欧米企業で関心が高まり、日本でも働き方改革の推進と相まって2016年来、注目度が高まってきている(関連記事)。
PwCコンサルティングによると、クラウド型ERPはオンプレミス型と比較して、導入期間や運用コスト、アクセスの利便性といった点で強みがある一方、導入においては個別の業務要件への対応が難しい場合もあり、現場担当者の業務効率が低下することを懸念する声が少なくない。新サービスは、そうしたクラウド型ERPの課題解決を目指しているという。利用企業にすれば今後、RPAを適用した業務プリケーションをうまく使いこなすことで、さらなる生産性の向上につなげられそうだ。
IPAが「情報セキュリティ10大脅威2017」を発表
情報処理推進機構(IPA)が2017年1月31日、「情報セキュリティ10大脅威2017」を発表した(表1)。
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情報セキュリティ10大脅威2017は、2016年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュリティにおける事案から、IPAが脅威候補を選出。同分野の研究者や企業の実務担当者など約100人のメンバーからなる「10大脅威選考会」が脅威候補を審議・投票し決定している。
「組織」に対する10大脅威では、「標的型攻撃による情報流出」が前年に引き続き1位に。大手旅行会社が標的型攻撃により約679万件の個人情報を漏えいした可能性があると公表し注目されたことは記憶に新しい(関連記事)。前年からの順位の変動では、「ランサムウェアによる被害」が7位から2位にランクアップしたほか、「IoT(Internet of Things)機器の脆弱性の顕在化」と「攻撃のビジネス化(アンダーグラウンドサービス)が初めてランクインした。
[選定理由]
情報セキュリティの脅威動向を網羅的に捉えたランキングとしてチェックしておくべきだからだ。
今後の動向として最も気になるのは、今回初めてランクインした「IoT機器の脆弱性の顕在化」だ。IPAによると、マルウェア「Mirai」によりIoT機器が大規模なDDoS攻撃に加担させられた事案では、IoT機器のメーカーがリコールに迫られたり、標的となったDNS(Domain Name System)サーバーを利用していたネットサービスが数時間にわたって接続しにくくなったりと被害が広範に及んでいる。
10大脅威ランキングの詳しい解説をIPAは2017年3月下旬にWebサイトで公開する予定である。そちらもぜひチェックしていただきたい。
松岡 功(まつおか いさお)
ジャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)などがある。
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