2017年1月の3本:日本マイクロソフトが「SAP HANA on Azure」を提供開始/ERPの定型業務をロボットで自動化するサービスをPwCコンサルティングが開始/IPAが「情報セキュリティ10大脅威2017」を発表
2017年2月7日(火)松岡 功(ジャーナリスト)
2017年1月のニュースから松岡功が選んだのは、「日本マイクロソフトがSAP HANA on Azureを提供開始」「ERPの定型業務をロボットで自動化するサービスをPwCコンサルティングが開始」「IPAが情報セキュリティ10大脅威2017を発表」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
日本マイクロソフトが「SAP HANA on Azure」を提供開始
日本マイクロソフトは2017年1月16日、同社のパブリッククラウド「Microsoft Azure」の国内データセンターにおいて、企業の基幹システムへの対応を強化したインフラ環境の提供を開始するとともに、独SAPのインメモリープラットフォーム「SAP HANA」に対応したソフトウェアをAzure上で利用できるようにしたと発表した(関連記事)。
新たに提供する「SAP HANA on Azure」対応ソフトは、SAPの最新版ERPソフトウェアの「S/4HANA」をはじめ、オンライントランザクション処理向けの「Suite on HANA, OLTP」、オンライン分析処理向けの「HANA Enterprise for BW, OLAP」など。
日本マイクロソフトはSAP HANA on Azureについて、「HANAのワークロードに最適化されたインフラ環境を整備したことで、Azureは基幹システムにさらに幅広く活用できるようになった」(同社の業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長の佐藤久氏)と説明。AzureがSAPソリューションに最適な理由として、図1に示した5つを挙げた。
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[選定理由]
企業の基幹システムをクラウドサービスとして利用する動きが活発化するきっかけになり得るからだ。
Azureと同じパブリッッククラウドでは、Amazon Web Services(AWS)のサービスも同様に「SAP HANA on AWS」の展開に注力している。米Microsoftのクラウド&エンタープライズグループ ゼネラルマネージャーであるマーク・サウザ氏はAWSとの比較について、「SAPに対応したクラウド環境の充実ぶりについては、当社のほうがAWSより先行している」と強調する。
HANA対応ソフトのクラウド利用を巡っては、AWSとマイクロソフトの激しい顧客争奪戦が繰り広げられそうだ。ユーザーサイドからすれば、パブリッククラウドの2大勢力による競争は、品質の高いサービスを選択できるようになり得るので歓迎すべき動きといえるだろう。
ERPの定型業務をロボットで自動化するサービスを
PwCコンサルティングが開始
PwCコンサルティングは2017年1月26日、クラウド型ERPの定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を組み合わせた「ビジネスプロセス最適化支援サービス」を提供開始すると発表した。
新サービスは、クラウド型ERP導入後に人的作業として残る、定型的な入力作業やシステム間をまたがった処理、簡易的な判断業務などを自動化し、ERPから提供されるデータの即時性・信頼性を高めるためのもの。これにより経営者は、必要な情報を正確かつ迅速に入手することで、スピーディな意思決定によるビジネスの加速を期待できる。ERPが持つベストプラクティスの活用と、自動化可能な業務範囲の拡大により、組織全体の再編を含めた人的資源の最適配置も実現できるとしている(図2)。
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