2017年3月19日(独現地時間)、独ハノーバーで、IoTを始めとする先端技術分野での日独間連携・協働の枠組みを定めた「ハノーバー宣言」が採択された。“日本回”として118社の日本企業が出展するCeBIT 2017(3月20~24日、独メッセゲレンデハノーバー)の開催に合わせた発表となった。インダストリー4.0でIoTを世界に先駆けて取り組んだドイツとの協働で、日本の製造業が輝きを取り戻すことはできるのか。開幕前夜の「Welcome Night」セッションに安倍晋三、アンゲラ・メルケル両首相が登場。協働への期待と抱負を語った。(IT Leaders 編集委員 河原 潤=ハノーバー)
日本が初の公式パートナーカントリーとなって多数の日本企業がブースを構えたCeBIT 2017。世界最大規模のICTイベントの“日本回”を象徴するビッグトピックの概要が、2国のトップみずからによって明かされた。
今回、日本のパートナーカントリー参加は、昨年5月の両国首脳会談でのメルケル首相の誘いに安倍首相が応じて実現したものだ。以降、急速に行われた民間への働きかけによって、ジャパンパビリオンの出展企業数は、昨年比10倍となる118社に達した。
安倍首相「互いにつながり協働することで革新が生まれる」
両国の政府関係者を含む約2000人が参加したCeBIT 2017のWelcome Nightセッション。安倍晋三首相(写真1)は、新しい産業革命期に「互いにつながり協働すること」の重要性を訴えた。
機械がAIの進展によって単一/用途特化型から、人類のあらゆる領域の問題解決の使命を担うようになったことから、「1個の機械でも、1社の技術でもできない。そして1つの国だけでも、できないことばかりである。つながりをことのほか大切にしなくてはならない」と強調。機械と機械、システム間の連携、それらと人間との関係、企業・国家といった集団同士の関係など、あらゆるつながりについて、政府・産業・学会が知恵を絞って協働し、イノベーションの創出につなげたいとした。

その際に求められるものとして、安倍首相は人材育成と共通・標準化された規格を挙げ、両国にはそれらをうまく実現できる共通の要素があると語った。「なぜなら、ドイツ人も日本人もものを作ることに誇りを託し無上の喜びを感じるからだ」(安倍首相)
また、安倍首相は、もう1つの共通点として「どちらの国もイノベーションの担い手にすぐれた中小企業が存在する」ことを挙げた。中堅・中小企業の交流促進をメルケル氏と以前から話し合ってきたという。今年2月にドイツの新興メーカー、フランカエミカ(Franka Emika)が開発したロボットに大きな感銘を受けた安倍首相は、「今回のCeBITでは日本の中堅・中小企業も同様に驚きの輪を広げてくれるに違いない」と語った。
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